今朝の朝刊のトップ記事をみて驚いた方も多かったであろう、キリンHDとサントリーHDの経営統合のニュース。
気の早い日経紙は、夕刊で早速、
「キリンとサントリー 統合、公取委に打診へ/週内にも 独禁法抵触を巡り」
(日本経済新聞2009年7月13日付夕刊・第1面)
と、自らの報道の正統性を誇るかのような後追い記事を載せている。
だが、普通に考えれば、これはどう見ても
「ちょっと待て。本当にそれでいいのか」
的な経営統合事例だと思う。
日経紙はネスレだのペプシコだの、といった国際企業と比較して、統合の理を説いているようだが、「規模の利益」を追求することだけが、グローバル競争を生き残る手段ではないわけで、ましてや、非上場でM&Aリスクとも無縁なサントリーが、麦酒屋と経営統合するメリットが果たしてどれほどあるというのだろうか?
サントリーの社長が創業家一族、ということもあって、本来最も重要な作業であるはずの、
「サントリーは創業一族の鳥井家など大株主に対して統合計画への賛意を確認する」
というプロセスがずいぶんと軽んじられているように読めなくもないのだが、このオーナー一族が拙速な判断を避ける賢明さを持ち合わせているのであれば、その賛意を得る作業は、公取委を企業結合審査よりも遥かに難しいハードルになるのではないかと、個人的には思っているところである。