今年のジャパンカップは、ウォッカの“7冠”達成、という歴史的偉業とともに幕を閉じた。
戦前に、「もうピークを過ぎた馬」という評価を散々受けながらも、信じたファンの期待に応えた底力は見事、というほかないし、速い流れの中で前方の好位置をキープし、オウケンブルースリの猛追にもひるむことなく、最後の最後までハナ差を譲らなかったルメール騎手の華麗なムチ捌きには正直惚れ惚れした。
これで今年のG1も3勝目。
秋の2戦で、カンパニー(今年G12勝)に完敗していることから、すんなりと選ばれるかは微妙なところだが、現時点で今年の年度代表馬の最有力候補となったのは間違いないところだろう。
ちなみに、天皇賞(秋)の完敗→乗り替わり→ジャパンC、という結果だけ見ると、武豊騎手にとってはかなり残酷なものになってしまった今回のレースだが、距離が延びたにもかかわらず天皇賞よりも1000m通過ラップが1秒近く速かった、という展開の利もあったし*1、陣営の仕上げがほぼ完ぺきに近かった、ということもあるから、一概に、ルメール>>>武豊という評価を下すのはちょっと気の毒な気もする。
ダービー以降、しばらく結果を出せていなかった彼女に、3つのG1タイトルを取らせたのは紛れもなく武豊騎手だったわけだし。
ただ、今回のレースにおける絶妙な折り合いとゴール前のスムーズさを見てしまうと、「もしドバイで・・・」という思いはどうしても出てきてしまうわけで、仮にオーナーが来年以降も続戦する、という決断を下すようなことがあるのだとすれば、たぶん同じことを考えてのことだろう、という想像も働くところ。
そして、何より、今回の騎手交代劇は、ここ数年囁かれ続けてきた「武豊神話の崩壊」が白日の下に晒された、という点で、これからの競馬界において決定的な意味を持つような気がしてならない。
ウォッカの鞍上を最後まで守り切れなかったことのツケが来年以降のジョッキー戦国絵図にどのような影響を残すのか・・・、その意味でも稀代の名馬・ウォッカが後に残したものは大きいように思うのである。