「弁護士バー」成功の鍵となるもの。

昨年11月頃に計画が公表された際には、いろいろと横槍が入った「弁護士バー」だが、勇気ある若き弁護士は、どうやら計画を強行することにしたようだ。

「弁護士がバーテンダーとしてカウンターで酒を振る舞い、時間や場所を変えて法律相談も受ける「弁護士バー」計画を進めてきた外岡潤弁護士=第二東京弁護士会(二弁)所属=らは3日、東京・六本木で会見を開き、バーを4月12日に東京都渋谷区道玄坂に出店することを明らかにした。」
「外岡弁護士らによると、店名は「リーガルバー六法」。営業時間は午後7時半から午前0時で、接客する弁護士は、当面は外岡弁護士1人の予定という。」

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100403/trl1004032210002-n1.htm

二弁の方は、相変わらず「弁護士法違反」をちらつかせているが、中條高昭副会長の、

「計画内容が去年と変わらないまま具現化されるのであれば、弁護士法違反に当たるかどうか情報収集をしなければならない」

という発言は、明らかに昨年の時点の発言よりもトーンダウンしているように思えるから*1、恐らくオープン後当面の間は、この新しい試みが葬り去られる心配はしなくてもよさそうだ*2


個人的には、弁護士会の偉い先生方が目くじらを立てて心配しなくても、“同種のプロジェクトがあっという間に広がる”ようなことにはならないと思っている。


バーテンの仕事をちょっとでもかじったことがある人なら容易に分かるだろうけど、毎日夜中に店を開けてカウンターに立って、客の相手をしながら酒を作って・・・という作業は、肉体的にも精神的にも結構ツライ*3


それに加えて、その先の仕事のネタにつながっていくような話まで聞かなきゃならない、ということになれば、これは相当大変だ*4


いくら競争が激しいと言っても、単に仕事を取ってくるだけなら、もっと楽な方法はいくらでもあるわけで、今回矢面に立っている若き弁護士のような、“先駆者”としての誇りと使命感(のようなもの?)がなければ、あえてリスクを背負って同じ企画をやろうとは思わないだろう。


その意味で、今回の試みはある種の“社会実験”だと言える。


だが、たとえ“実験”でも、この企画が成功するかどうかによって、この後にさらに効果的な、ユニークな企画を打ち出していく人間が出てくるかどうか、時代の流れが変わってくる可能性があるわけで、

“やってみました。でも失敗でした。”

なんてことにならないにこしたことはない*5


今回の記事を見たときの自分の率直な感想としては、「店のネーミングセンスがイマイチだなぁ・・・」*6というのと、「『道玄坂』って場所はどうなんだろうなぁ・・・」*7というのが結構大きかったのだが(笑)、その辺の好みの問題を置いたとしても、“飲み屋激戦区”の渋谷に店舗を構える以上は、やはり、「リーガル」という付加価値に頼り過ぎることなく、

「純粋なバーとしてのクオリティ」

を徹底的に追及していかないと、長く続けていくのは難しいように思う*8


何だかんだ言って、自分も一度くらいは足を運んでみるつもりだけど、そこで、2度目以降も行こうと思えるお店なのかどうか・・・


それが、“実験”の成功のカギになるのは間違いない。

*1:昨年の時点での報道によると、二弁の味岡良行副会長(当時)は「顧客が弁護士に法律相談をすることを容易にする時点で事実上の仲介業務」と指摘し、店がオープンした場合には「それなりの措置を取らなければならない」と、弁護士法違反罪での刑事告発も示唆していた、とのことであった。執行部が変わった直後、ということもあるのだろうが、昨年報道されたコメントに比べれば今回のコメントはかなり大人しい(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20091129/1259509990http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20091210/1260463816も参照のこと)。

*2:別の記事によると、外岡弁護士サイドでも、「店内では法律相談を一切受けない」、とか「相談料、仲介料と誤解されかねないテーブルチャージを廃止する(カクテル等の実費等しか徴収しない)」などある程度工夫はしたようである。

*3:本職のバーテンなりフロア係なりは、ちゃんと雇うつもりなんだろうけど・・・。

*4:当然、昼間の仕事との兼ね合いだって考えないといけない。

*5:もちろん、挑戦することに一つの価値はあると思うので、何にも挑戦しないのに比べれば、今の時点でも十分功績は残していると思うけど、せっかくここまで頑張っているんだから(発表パーティにホリエモンを引っ張り出してまで(笑))、できることならうまくいって欲しいなぁ、と個人的には思っているところである。

*6:店名に「六法」とかありえん(苦笑)。

*7:渋谷周辺にオフィスを持つ若い起業家あたりに狙いを定めたのか、それともセンター街の若者狙いなのか、あるいはたまたまその辺に手ごろな物件があったのかは分からないが、どうせなら渋谷より、小洒落たバーが多くて、かつ大人の街の雰囲気もある西新宿とか恵比寿あたりの方が、場所としては面白かったんじゃないかと思う(あるいはネタ的には秋葉原という手も・・・w)。あくまで好みの問題だけど。

*8:開店当初は物珍しさもあって、それなりに繁盛するだろうと思うけど、中身が伴っていなければいずれ飽きられる(そして、振りかえられることなく消えていく)。

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