競馬の世界って、普通の世の中よりも世代がめぐるサイクルが早い。
ついこの前まで現役バリバリで走っていた、と記憶していた馬の息子、娘たちが、いつの間にかデビューしている、なんてことも良くあるわけで、そうやって歳月の流れを感じていくのが、競馬ファンの習性であり、悲しい性であったりもする。
・・・で、今年は夏頃から、“あの”ディープインパクト産駒がデビューを迎える、というのが最大の話題になっていた。
そして、父親の現役時代の名声に応えるかのように、初年度であるにもかかわらず*1新馬戦、未勝利戦で“ディープ産駒“が続々と勝ち上がっていく、という状況も確かにあった。
だが、年末が近づき、今年の2歳馬のトップを決める戦いの段になってみると、必ずしもディープ産駒がトップクラスの存在感を発揮できているわけではない・・・ということに気づく。
先週の阪神JFでは、上位5頭の中にディープ産駒が食い込むことはできなかったし、今日行われた朝日杯FSでは、2着、3着にディープ産駒が食い込んで意地は見せたものの、勝ち鞍自体は「サクラバクシンオー」産駒(!)が持って行ってしまっている*2。
思えば、90年代後半から、サンデーサイレンスの血をひき、父親越えを目指そうとした種牡馬はたくさん出てきたが、コンスタントに走る馬を送り出してきている反面、“父親越え”を果たすほど強烈な実績を残した種牡馬はそんなにはいない。
若干晩成型の傾向もあったディープのことだから、1〜2年目の頃のサンデーサイレンスのように、来年クラシックシーズンになって産駒が大暴れし出す、という展開も期待できなくはないのだが、少なくとも年内のレースを見ている限り、そこまで期待するのはちょっと酷かな。とも思っているところで、その辺は実際に春になってみないと分からないだろう。
種牡馬のバリエーションは増えていくのだが、どの種牡馬もタイプが似通っていて、産駒もこれといって一歩抜けだすような力を持った馬はいない・・・そんな風説を裏付けるような状況にならなければいいが・・・というのが自分の率直な思いである。