見事過ぎる勝ち方だからこそ、の不安。

新年も開けたばかりだと思っていたのに、あっという間に「引退」の週も終わり、クラシックトライアルの季節に突入してしまった。
土曜日は目下3連勝中、最優秀2歳牝馬のタイトルも持っていたラッキーライラックが「種牡馬オルフェーヴル」時代の到来を告げるように、ディープ産駒のマウレアを2馬身ぶっちぎって堂々の4連勝。

一方日曜日の弥生賞では、一部で囁かれる“種牡馬としてはピークアウトした”という雑音を吹き飛ばすように*1、今度はディープインパクト産駒が堂々のワン・ツーフィニッシュ。

中でも「距離不安」が唯一の不安材料だった最優秀2歳牡馬・ダノンプレミアムは、2番手追走から大外を回して後続を完封、という実に強い勝ち方で4連勝を飾り、皐月賞に向けて「1強」という声すら出始めた。

だが、注意すべきは、今週のトライアルは、例年注目馬が揃うものの勝敗が本番には直結しないレース、だということ。
特に弥生賞に関しては、皐月賞と全く同じ条件ながら、ヴィクトワールピサが2010年に両レースを連勝して以降、7年連続で勝ち馬が皐月賞を逃すという事態に陥っている。

展開に恵まれて、人気薄で勝ってしまったような馬が本番で結果を出せないのは分かるとしても、一昨年のマカヒキ、その前のサトノクラウン、と弥生賞まで無敗の連勝記録を続け、盤石の態勢で本番に臨んだ馬ですら、皐月賞は取りこぼしている、という現実がある。

今回のレースにしても、少頭数で逃げたサンリヴァルのペースは1000mの通過が1分01秒5、というスローペース。
最速の上がりの脚を使いながら、「届かないポジション」だったがゆえに苦杯をなめた*22着・ワグネリアンの方が、春のクラシックレースのペースにはむしろ合っている、という見方もできるわけで、勝ち馬の鞍上が川田将雅騎手だったこととも相まって*3、ここはなかなか評価が難しいところ。

何だかんだ言っても、父・ディープインパクトは、無敗のまま弥生賞を勝ち、そのまま菊花賞まで無敗で突っ走ってしまっているから、終わってみれば、「ディープ2世だった」という結論になってしまう可能性もないとは言えないが、クラシック本番初戦であまりに人気を被るようだったら、ワグネリアンかタイムフライヤーを頭にしてもいいんじゃない?という声が、自分の頭の中で響いて鳴り止まない。

それが、幸運の道標なのか、悪魔のささやきなのかは、1カ月後の結果を見るまでは分からないのだけれど・・・。

*1:種牡馬としての成績が頭打ちなのは、サンデーサイレンス系の牝馬が増えすぎて、国内で実績のある牝馬との配合がしづらくなっていることに起因する(逆にロードカナロアルーラーシップといったキングカメハメハ系の種牡馬や、サンデーサイレンスの孫世代の種牡馬の方が価格と相まって引き合いが多くなっている)からだと思っていて、まだまだ種牡馬としての底力は侮れないと個人的には思っている。

*2:この辺は、福永騎手の持ち味が最大限発揮された、というべきか・・・(苦笑)。

*3:あのマカヒキでも皐月賞は勝たせられなかった・・・。今回はその前のトゥザワールドの悲劇をも彷彿させるものがある。

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