勝負を分けたのは”血の濃さ”か。

ここ2年ほどは、メンバーの薄さが指摘されてきた春の大一番、天皇賞だったが、この一年続いたコロナ禍が「海外遠征」を狭き門にしたこともあってか、今年はずらりと揃った17頭。

先月の大阪杯に比べると少々見劣りするとはいえ、2年前の菊花賞馬・ワールドプレミアを筆頭に*1、カレンブーケドール、アリストテレス、ウインマリリンといった「クラシックあと一歩」組が主役の座を伺い、さらに前走の阪神大賞典で序列を急上昇させたディープボンドが割って入る、というなかなか面白いメンバー構成になっていた。

京都競馬場が長期改修工事の真っただ中で久々の阪神コースでの開催、しかも天気がくるくると変わる状況の中、1番人気に支持されたのは何とディープボンド。

一方、自分は、牝馬にこの条件(芝3200m)はさすがに厳しいか・・・と半信半疑ながらも、昨年から続いている「牝馬こそ最強」の流れを信じてカレンブーケドールに願いを託し、展開を見守った。

北村友一騎手の負傷で急遽坂井騎手に乗り替わったディアスティマがそれなりに速いペースで引っ張り、先行させればとにかくしぶといカレンブーケドールが途中から2番手に浮上、他の有力馬たちも軒並み前に行く中、長く続いた開催と直前まで降っていた雨が荒らした最後の直線で底力勝負、という形になったのだが・・・。

終わってみれば、昨秋から不完全燃焼感のあるレースが続いていたワールドプレミアが、この究極の消耗戦で「待ってました」とばかりに力強く伸び、堂々の優勝。追いかけたディープボンドも、人気を大きく裏切ることなく2着に飛び込む。

そして、直線の半ばくらいまでは、あわや、と思わせるくらいしぶとい粘りを見せていたカレンブーケドールが、アリストテレスの追撃を頭一つ交して3着、という結果に。

かくして、5着のウインマリリンも含めて、1~5着はまさに「格」どおり、という実に順当な結果に収まったのだった。

個人的には、こんな状況の中でも、1~3着を占めたのがここ2年フィエールマンで牙城を守ってきたディープインパクトの血統だった、というのは実に示唆的だと思っていて、昨年コントレイルをあと一歩のところまで追いつめたアリストテレスエピファネイア産駒)ですらその壁は破れなかった、というところにかの血統の圧倒的な底力の違いを見た気がする。

そして、「ディープ」から一世代挟んだキズナ産駒のディープボンドではなく、ディープ直仔のワールドプレミアが勝った、というところに、「血の濃さ」如実に現れていたようにも思うところで・・・。

種牡馬界の勢力図がじわじわと変わりつつある中で、この流れがいつまで続くのかは分からないけれど、まだあと1,2年は、タフな長距離レースになればなるほどディープインパクト産駒・・・という法則で良いのではないか、と思った次第である。

*1:本当は5年前のダービー馬を真っ先に挙げないといけないのかもしれないが、さすがにいけないのかもしれないが、さすがに8歳だと・・・ということで。

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