馬がニッポンを救う。

ここのところ暗いニュースばかり続いていた中で、心の底から喜べるニュースが中東の国から届いた。

世界最高賞金額(1着600万米ドル)を誇る国際GIドバイワールドカップが現地時間26日、アラブ首長国連邦・ドバイのメイダン競馬場2000メートル・オールウェザーで行われ、日本から参戦したミルコ・デムーロ騎乗のヴィクトワールピサ(牡4=角居厩舎、父ネオユニヴァース)が日本馬初の優勝。2着には同じく日本から参戦した藤田伸二騎乗のトランセンド(牡5=安田隆厩舎、父ワイルドラッシュ)が入り、日本馬ワンツーフィニッシュの快挙を達成した。勝ちタイムは2分5秒94。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/other/horse/headlines/20110327-00000001-spnavi-horse.html

ドバイの地で日本の馬が掴んだ初めてのチャンピオンの座。

まだダートのG1が我が国に存在しなかった1996年に行われた第1回、ライブリマウントが海を越えて挑んで以来、15年間、日本馬を跳ね返し続けて来た壁を、2頭のワン、ツーという結果で、一気に乗り越えてしまった爽快感は何ものにも代えがたい。

芝優先のレース体系を組む我が国の競馬界にとって、昨年からオールウェザーコースでのレースになった*1、というのが、今回の勝利につながる大きな背景要因になったのは事実だろう。

だが、今回のレースでは、芝の王者、ヴィクトワールピサだけではなく、ダートの王者、トランセンドも堂々の走りをやってのけたのだから、まさに“チーム・ジャパン”としての大勝利と言っても過言ではない。

残念ながらライブで勝利の瞬間を目撃することはできなかったが、ゴール前の前2頭の必死の粘りは結果が分かってみていても、シビれるものであった(生で見てたら、心臓が止まりそうになったかもしれない・・・)。


そして、結果以上に嬉しかったのが、レース直後に勝利の喜びを抑えきれずに興奮状態のまま、鞍上のミルコ・デムーロ騎手が発した次の言葉*2

「日本のために祈っていた。日本を愛してる。ありがとう」

一瞬の映像ではあったけど、それを見たとき、自分までもらい泣きしてしまった・・・

短期免許で初めて来日してからはや10年以上。

見た目は普通のイタリア人だけど、その彼が、言葉を飾りようもないようなシチュエーションで、↑のようなストレートなフレーズを発したことに、自分は驚きと感動を隠せない。


そうでなくてもマイナースポーツに陥りかけていたところに、東日本での開催、馬券発売中止、という異例の事態となって、国内では細々と灯をつないでいるだけ・・・といった印象さえ受ける今の競馬界だが、これまで培ってきた世界と戦う馬づくりの努力と、世界各国の騎手との“縁”が、こんな素晴らしいドラマをもたらしてくれた。

そこに世界につながる「競馬」というスポーツの奥の深さと真の価値があるわけで、長年付き合い続けてきた自分としても誇らしい気持ちになる*3


ちなみに、ドバイの歓喜の数時間後、ちょっとスケールは小さいけれど、高松宮記念で我が国のG1を始めて制覇したリスポリ騎手が、優勝騎手インタビューで、被災者への遠慮を見せつつも、「地震が来ても日本に残った理由」を切々と語っていたのも非常に印象的だった。

母国に帰れば、デムーロに代わるイタリア競馬界のスターとして、これからますます力を発揮することになるのだろうけど、単に技量だけではなく、ヒトとして大事なものもきちんと受け継いでいるんだなぁ・・・ということを、インタビューから感じられたのが、ちょっと嬉しかったわけで・・・。


しばらく西の方の競馬場に負荷がかかる変則的な開催が続くことになるのだろうけど、いつか、東日本に競馬が戻ってくる日が来る、そして、それこそが復興に向けた灯の一つになる、と信じて、待つことにしよう。

*1:芝、ダート兼用で異彩を放ったトゥザヴィクトリーアグネスデジタルといった馬を除けば、芝のG1のタイトルホルダーはそれまでほとんど出走していなかった。

*2:日本語で言ったわけではないので、本当は原語でちゃんと表記すべきなんだろうけど、とりあえずここは和訳版でご勘弁いただきたい。

*3:願わくば、もう少しメディアで大きく取り上げて欲しかった(特に皆様のNHKには・・・)、という気もするのだけれど。