今日一日、相変わらず本調子ではない状況で、季節外れの暑さにげんなりし、さらに、北の方の国の飛翔体のニュースや西の方の電力会社の記者会見のニュースに接してさらにげんなり・・・という感じだったのだが、夜になってようやく明るい話題に接することができた。
「「第53回東京盃」(Jpn2、ダート1200メートル)が2日、大井競馬場で行われ、1番人気の藤田菜七子騎手(22=美浦・根本=が騎乗したコパノキッキング(4歳、栗東・村山)が、見事な逃走劇を披露。JRA所属女性騎手初となる優勝を果たした。24度目の挑戦で自身初の重賞タイトルを手にした。」
(中日スポーツWeb 10月2日21時39分配信)*1
地方交流重賞とはいえ、舞台はNRAでは最高レベルの大井競馬場。レース自体も歴史のあるスプリント重賞で、斤量も当然女性ハンデなし、ということで、十分に価値が認められる勝利だと思う。
そして映像を見ても、好発を決めてすぐに先頭に立ち、最後の直線も影を踏ませずに逃げ切って、スプリント戦としては文句なしの4馬身差。実に惚れ惚れする「圧勝」劇だった。
中央GⅠのフェブラリーステークスでも有力馬に挙げられるような一流馬・コパノキッキングに、フェブラリーSでの敗戦はもちろん、その後の地方交流JpnⅢ戦で連敗してもなお藤田騎手を乗せ続けたドクターコパ(小林祥晃)氏の(今どき珍しい)名パトロンぶりがこの結果につながったことを否定することはできないが、競馬は「いい馬に乗れば勝てる」というだけの単純なスポーツではないし、彼女がここまでのキャリアで磨き上げた武器の中でも「ゲートから出るタイミングの早さ」*2が特にピカ一だからこそ、ダートの短距離という条件できちんと結果を残せた、ということは、忘れてはいけないことである。
今回の勝利をもって、彼女が地方交流重賞で勝っても、もう「女性騎手初」といわれることはなくなった。
もちろん、まだ「中央競馬での重賞初勝利」に「女性騎手初」の形容詞が付く可能性はあるし、「国内GⅠ初勝利」「クラシック初勝利」といったところから、「海外GⅠ初勝利」まで、紋切り型報道大好きのメディアに「女性・・・!」というフレーズを付けられて報じられる可能性のある場面はまだまだ残っていて、そういったものが残っている間は、藤田騎手も「普通の若手騎手とは違う何か」を背負って「見えない天井」と戦うことになるのだろうが、彼女はまだ22歳。
それだけに、これからも、成長するために様々なものを吸収しつつ、一つひとつ天井をぶち破っていく・・・そんな彼女のプロセスを見ることができると信じているし、そう遠くないうちに一通りのプロセスを経て課題をクリアし、さらに一段と上の目標を目指すような存在になっていると自分は信じてやまないのである。
*1:藤田菜七子、涙の初重賞V「たくさんの方々に感謝」、見事な逃走劇「大井の直線、こんなに長く感じたのは初めて」(中日スポーツ) - Yahoo!ニュースより。
*2:芝だとそれが新潟の直線千メートルのレースでも抜群に生きていたりする。