リーグ再開前に迷走しそうな気配を見せている、サッカー日本代表の「南米選手権」派遣問題。
Jリーグが中断再開を遅らせる代わりに、「7月に日程を組み込む」というニュースを聞いた時点で、こういう話が出てくるんだろうなぁ・・・ということは覚悟していたのだが、
「南米選手権出場を辞退してJリーグの正常化を優先させるべき」
とするJリーグ側と、
「復興支援の大会にするから是非参加してくれ」
と、小倉純二会長がアルゼンチンで翻意を促されて帰国することになってしまったがゆえに、再度あてのない調整に突入せざるを得なくなった日本サッカー協会*1。
10日付けの日経紙の記事は、明らかにJリーグ側に肩入れしたものになっているが、苦闘の末“アジア王者”の称号を勝ち取った、ということの重さ*2や、代表の強化プランに与える影響、さらに、我が国が国際的に厳しい評価を受け始めている時に、海外で存在感をアピールする機会を失うことの惜しさ、を考えると、Jリーグ側の言い分を一方的に鵜呑みにするわけにもいかないだろう。
確かに、「代表チームとクラブチームの活動をダブらせない」という原則は、伝統的なリーグでは確立されている。
ただ、良い意味でも悪い意味でも“島国”的単一性が強いこの国の場合、今だに
「代表人気あってのJリーグ」
という一面があるのも事実*3なわけで、欧州と同じ感覚でいいのか、という問題提起はなされても良いはず*4。
贔屓のチームが2部暮らしで、当面、代表に選ばれそうな選手もいない*5自分がこんなことを言ったって説得力はないのかもしれないけれど、被災した鹿島の人々だって、自分のチームが首位決戦でグランパスを蹴散らすのと同じくらい、地球の裏側で伊野波や岩政選手が殊勲の活躍をする姿が見たいのではなかろうか。
ザッケローニ率いる今の代表チームが、思いを胸に全力で戦えば、南米でも十分通用する。
そう思うだけに、過度の“国内目線”で決着しようとするのだけは勘弁してほしいなぁ、と思うところである。
*1:もっとも、「代表強化のために何としても南米選手権に代表選手を送り込みたい」というのが、サッカー協会の本音だろうから、「アルゼンチンで翻意を説得された」というのも、国内での交渉上の一つのテクニックとして使うための材料なのかもしれないが。
*2:南米選手権開催側としても、ビジネス面でのメリット等を見込んでアジア王者を招聘しているわけで、その期待をそう簡単に裏切って良いものかどうか。
*3:熱心な固定ファンを持つ一部のクラブは別として、その他大勢のクラブの観客動員数は、たぶんに“代表人気”の影響を受けている(最近では、代表で活躍する選手がすぐに海外に行ってしまうために、代表戦が盛り上がっても直ちにJリーグの観客動員増には反映されない傾向があるが、代表チームの力が落ちて実績が残せなくなれば、Jリーグの観客動員数も落ちるのは間違いない)。
*4:自分のチームを愛するサポーターの思いに変わりはない、と言われてしまえばそのとおりなのだけど。