力が抜けた馬がいない中で、G1タイトルホルダーがずらっと首を揃え、“混戦模様”と評された今年の天皇賞(秋)。
昨年のこのレース以来、国内では2着続きのブエナビスタが意地を見せるか、それとも前哨戦を快勝したローズキングダム、アーネストリーあたりが実力を示すか、それとも上がり馬ダークシャドウか・・・というのが大方の予想だったのだが、終わってみれば7番人気のトーセンジョーダンが三冠・池江(息子)厩舎の勢いそのままに、低評価を覆して驚異的なレコード勝ち*1。
シルポートの暴走気味の逃げ(最初の1000mが56秒台!)が作りだした速い流れが幸いした、とはいえ、東京コースで無類の強さを見せた父・ジャングルポケットの名に恥じない見事な走りだった。
最初にレースを見たときは、インの狭いところに閉じ込められてしまったブエナビスタに目を囚われている間に*2、いつの間にか勝ち馬がゴールを駆け抜けていた、という“あっけない幕切れ”だったのだが、VTRを見返すと、ゴール前の攻防が実に面白い。
残り1ハロンくらいからのほんの一瞬の出来事を、自分の見た印象で説明すると、好位で逃げ粘っていたエイシンフラッシュをトゥザグローリーが捕まえて一瞬先頭に立ったところで、ダークシャドウが満を持して進出。だが、そこにトーセンジョーダンが馬場中央からグイッと伸びて一気に先頭に。そして大外からいつものように鬼脚を見せるペルーサと、インをようやくこじ開けたブエナビスタが前に迫るも、届ききれないところでゴール・・・
そんなところだろうか。
打つ手打つ手が裏目に出て、馬券の売り上げも右肩下がりが続いていると言われて久しいJRAだが、大レースで、馬券的にも*3レース的にも純粋に楽しめるこういうレースを何度も目にすることができるようになれば、ちょっとは巻き返せるんじゃないかな、と率直に思う。