WBCの「敗北」に見えた光明

苦戦続きの第1ラウンド、第2ラウンド台湾戦を経て、ようやく盛り上がりかかったところで、あえなく準決勝敗退・・・となってしまった我らが日本代表。

昨日から今日にかけての新聞の見出しには、「3連覇逃す」の文字が踊り、メディアからは“残念ムード”が漂っている状況*1であるが、より長期的な視点で見れば、

・決勝トーナメントの常連だった韓国が躍進著しかったオランダに屈し、あえなく第1ラウンド敗退*2
・名将と名選手を揃えた割には、相変わらずの力の入れ方だったアメリカチームも第1回大会に引き続き、決勝トーナメント進出を逃す。
・中米色が濃いとはいえ、位置づけは欧州連盟所属のオランダが勝ち残ったことで、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの3大陸がベスト4にそろい踏み。
・これまで脇役に回ることが多かったドミニカとプエルトリコが、MLB所属選手の大挙参戦もあって堂々の大会の主役になった。

ということで、初めて「世界選手権」として開かれた大会にふさわしい結果になり、今後の“グローバル・メジャースポーツ化”に向けても大きな一歩になったのではないかと思う*3

メジャーで活躍している選手がいない、とか、監督に華がないとか、諸々の理由(?)であまり評判が良くなかった今大会の日本代表チームにしても、「小粒であるがゆえの」工夫とか頑張りが随所に感じられて、個人的には共感できるところも多かった*4

元々、2006年、2009年の過去2大会にしても、決勝戦まで勝ち進む過程では、「んんん・・・?」と言いたくなるような展開は何度もあったわけで*5、“強かった”という評価は、後から「伝説化」されたところが大きい。

これまでのように「韓国だけ見てればよい」状況ではなくなった、真の「国際大会」に一歩近づいた大会で、名門国の名に恥じぬ結果を出し続け、ベスト4に名を刻んだ、という事実は、正当に評価されるべきだと自分は思っている*6

選手生活としては晩年を迎えつつあった井端選手が、大会の流れを変えるような貴重な一打を連発し、一躍大会の”主役”に躍り出たり、初戦でブラジル相手に“KO”された田中投手が、中継ぎで登板するたびに唸るような投球で三振の山を奪い続けたり・・・*7

間違いなく、ドラマになるチームだった。


なお、この流れがこのまま定着するならば、4年後はもっと厳しい戦いを強いられることになるはずで、「日本代表」のブランドを維持し続けていくのであれば、新たにWBC中間年に新設される国際大会だとか、その他の国際大会を通じて、継続的なチーム作りをしていくことが必須なのではないかなぁ・・・と思うところ。

どんな競技でも(そしてスポーツに限らず)、裾野が広がれば広がるほど、“一流”の地位を維持し続けることは難しい。
今、日本の野球が直面しているのも、そういうフェーズであるように思われるわけで、そこを乗り越えなければ、(タレントの解説をわざわざつけなくても)多くの視聴者を引き付けるコンテンツを提供できる競技には決してなりえないだろう*8、と思うだけに、これからの関係者の奮起と叡智に期待したい。

*1:とはいえ、どちらかと言えば自分の周囲には「これからちゃんと試合見ようと思ってたのに・・・」といったトーンの“拍子抜け”ムードの方が強かった気がする。

*2:個人的には、これが一番うれ・・・(以下自主規制)。

*3:あくまで“メジャー・リーグの多国籍化”の恩恵を受けているところが大きいのも事実(国単位の強化策が実を結んでいるわけではなさそう)だし、五輪競技として復帰するところまで行くかどうかは、レスリングとの兼ね合いもあって、日本人としては、悩ましいところだが・・・。

*4:最後は、“4番バッターのところで足を使う”というまさかのサインプレーの失敗で、いわば“策に溺れた”結果となったが、あの緊迫した場面でそれを言っても仕方がなかろう・・・。

*5:第1回大会は、第2ラウンドで負け越しているし、第2回大会でも韓国に何度も煮え湯を飲まされている。

*6:五輪の野球が「公開競技」から正式種目に格上げされた最初の五輪(バルセロナ)で銅メダルにとどまった(公開競技時代の2回は金、銀)時も、どちらかと言えば残念ムードが強かったが、あの時のメダルがいかに価値があるものだったか、ということは、その後の五輪での野球の歴史が証明しているように思う。

*7:勝利への貢献度合いの少なさゆえ、前田健太投手の評価に比べると完全に後れを取ってしまった感はあるが、モチベーションの維持が難しい状況で、良く投げたなぁ・・・と。

*8:サッカーのW杯の本戦の試合で、タレントが試合中に口を挟むシーンなど見たことがないが、それでも、サッカー中継はあれだけ爆発的な人気コンテンツになっている。それと比較してしまうと、野球の国際大会というのは、まだまだメディアコンテンツとしては遠く及ばないように感じている。