エイプリルフールの失望。

いくら今日が4月1日で、しかもWBCで日本代表が3連覇を逃したばかりだから・・・とはいえ、こんなジョークを流すとは、ずいぶん我が国のメディアも洗練されたものだなぁ、と思ったのが、↓のニュース。

プロ野球巨人の長嶋茂雄元監督(77)と大リーグのヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(38)がそろって国民栄誉賞を受賞することになった。」

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/baseball/npb/headlines/article/20130401-00000073-jij

ところが、深夜日が変わる頃になっても、まだ同じニュースが繰り返されているところを見ると、どうやら、これは本当の話らしい。

これまで、プロ野球選手では“世界の本塁打王王貞治氏と“世界の鉄人”衣笠祥雄氏しか授賞したことがなかったこの栄誉ある賞をなぜこの2人が・・・?と思ったのは自分だけだろうか。


長嶋茂雄氏に関しては、かつて「大鵬・卵焼き」と並んで黄金期を築いた「巨人」の代表しての授賞、ということで、百歩譲れば理解できなくもない。所詮は自分が生まれる前の話、「かつては凄い人気だったのだろう、きっと」と思えば一応納得はする*1

だが、松井秀喜氏の方はどうか・・・。


自分は、決して松井選手が嫌いではなかった。
というか、甲子園時代から注目していた選手だったし、巨人のユニフォームを着た後も自分が憎めなかった数少ない選手の一人。そして、メジャーリーグに行ってからの栄光と苦闘の歴史や、その節々で伝わってくる松井選手のコメントに、感じ入るところが多かったのも事実である。昨年末に引退の報を聞いた時の気持ちは、このブログにも残してある*2

でも、いかに野球人として魅力的だからといって、それが「国民栄誉賞」に値するか、といえば、それは全く別の話だろうと思う。

NPB在籍時に当時の巨人の不動の4番打者として貢献した程度は確かに大きかったし、海を渡ってヤンキースでワールドチャンピオン&シリーズMVPに輝いた、という実績も見事。とはいえ、打撃三部門の数字で他の日本球界の先人と比較して特別な数字を残したわけではないし、連続出場記録でリプケン選手や衣笠選手を超えたわけでもない。

メジャーリーグにおけるパイオニア、という点や、米国社会に与えたインパクトの点でいえば野茂英雄選手の方が圧倒的に価値がある仕事をしたと思うし、純粋に記録でいえば、イチロー選手の実績のインパクトには遠く及ばない*3。五輪やWBCで日本の優勝に貢献した、といった実績を残したわけでもない。

それゆえ、なぜ・・・?という思いは、真にプロスポーツを愛する者であれば、誰にでも当然生じてくるはずだ。

国民栄誉賞」という賞には、元々明確な選考基準があるわけではなく、その時々の政権のある種の“気まぐれ”で授与される性格も強い。しかも、ここ数年の乱発もあって、最近では賞自体の価値を疑う声も出てきているだけに、今さら人選にケチを付けても仕方ないのかもしれない。

だが、こと松井選手に関して言えば、政府関係者に熱烈な巨人ファンがいるのか、あるいは夏の選挙をにらんで「巨人ファン」という新たな有権者層の獲得を狙いにいったのか・・・そうとでも考えないと、授賞の説明が付かないのではないか、と自分は思っている。

これで、少し早い(かつ不本意と思われる形での)「引退」ゆえに、もしかしたら…という余韻が残っていた松井選手の“復帰”への道も、完全に閉ざされることになってしまったし、新年度から何とも残念過ぎるニュース。

まだ、心の中では、2日の記者会見で「あれは実はウソでした」と、誰かが行ってくれることを期待しているのだけれど・・・

*1:監督としての実績が評価された云々、という報道は、リアルタイムでその時代を見ているだけにもはや笑い飛ばすほかないのだけれど・・・。

*2:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20121228/1356896881

*3:イチロー選手の場合、候補になっても辞退したりしているので、いずれは授賞することになると思うが・・・。