遅すぎた記録への終止符。

最近はまだ続いていたことを忘れてしまっていたくらいだったのだが、ようやく交流戦に入った初戦のソフトバンク戦で、タイガース・鳥谷敬選手の連続試合出場記録が止まった。

阪神鳥谷敬内野手の連続試合出場記録が歴代2位の1939試合で止まった。入団1年目の04年9月9日ヤクルト戦(甲子園)から継続していた。15年目の今季は開幕から調子が上がらず、代打などの途中出場も増えていた。日本プロ野球における歴代1位は、4月23日に71歳で死去した衣笠祥雄氏の2215試合。同3位は阪神金本監督の1766試合。」(https://www.nikkansports.com/baseball/news/201805240000481.html、強調筆者)

金本・現監督の記録が止まったのは2011年のこと。
それまで連続試合出場どころか、「連続フルイニング出場」を続け、「鉄人」の栄誉をほしいままにしていた金本選手も、2010年開幕前の右肩負傷をきっかけに一気に選手生活の“晩年”に突入し、2010年は辛うじて全試合に出場したものの、打率は.241。
さらにその翌年の4月、低迷する中で(打席で打つ前に盗塁死でイニング終了、というハプニングもあったが・・・)とうとう連続出場ストップ、となってしまった。

記録を続けさせるのか、続けさせないのか、当時の真弓明信監督が煮え切らない態度を示し続けた結果、2010年シーズンから「代打」で出てきて凡退するたびに、歓声より溜息の方が多くなっていった、というのはまだ生々しい記憶として残っているところで、チームの成績が低迷していたことも相まって、彼は“特別扱い”でいいんだ、という論者と、詝何で?”という論者が入り混じって当時のアウェーのレフトスタンドには殺伐とした雰囲気すらあった。

翻って鳥谷選手。

金本監督就任初年度は、深刻なスランプに陥り、遊撃手のレギュラーの座まで奪われる屈辱を味わったものの辛うじて全試合出場を達成。そして昨年は、三塁手として打率.293。2000本安打も達成し、まだまだ第一線で出場し続けられると期待させてくれたのだが・・・。

三塁手で結果を出していたにもかかわらず*1、シーズン開幕前に二塁コンバートされたことの影響が大きいとはいえ、バッティングの不振は目を覆うばかりだった。

今シーズン打てていないのは彼だけではなく、事実上彼を弾きだしたロサリオ選手、大山悠輔選手も好調というには程遠い成績である。元々「代打」で何かやってくれそうなイメージはない選手だけに、開幕時の構想を見直して再びサードのレギュラーに戻して復調を待つ、という手もあったはずだが、遮二無二世代交代を進める金本体制の下で、それを期待しても無駄、というものだろう。

“一流”と評価される選手が、NPBで10年以上プレーし続けること自体がレアになっている時代に、衣笠選手の記録を塗り替えられるとしたら鳥谷選手しかいなかった*2から、惜しまれていたのも、金本監督といえどそう簡単には決断できなかった、というのも良く分かる。

とはいえ、2010年の“金本の悲劇”を目の当たりにしたものとしては、「打てない代打」でダラダラと試合出場を続けるより、一度リセットして、場合によっては少しの休養も挟むことで、再び「3割」復活を目指した方が鳥谷選手にとっては得るところが多かったような気がするし、ようやくここで区切りがついたとはいえ、既にシーズンが始まって2カ月以上。
判断としては既に遅すぎた気がしなくもない。

このまま第一線からフェードアウトしてしまうのか、それとも過去数年のように、夏を挟んでシーズン終盤には「定位置」を取り戻しているのか。チームの成績以上に気になるシーズンになりそうである。

*1:2017年は守備率。968でゴールデングラブ賞を獲得している。

*2:その次、となると西武の秋山翔吾選手の585試合だから、まぁあと10年は塗り替え不可能、ということになる。

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