ひと夏越えて成長したもの。

3歳牝馬三冠の最終戦秋華賞で3番人気のメイショウマンボが、直線で人気馬同士の競り合いを制し、堂々の二冠を達成した。

全くの人気薄で、勝ったこと自体が驚きだったオークスに比べれば、今回は人気の一角、しかも、器用な馬が有利な傾向がある京都内回り2000m、ということもあって*1、そこまでの驚きはない。

だが、同世代の中でそこまでずば抜けた存在ではなく、オークス後の初戦となったローズSでも「4番人気で4着」という、あまりに平凡な存在感しか示していなかった*2この馬が、「二冠馬」になってしまったところに、今年の3歳牝馬戦線の不思議がある*3

で、メイショウマンボの鞍上は、オークスと同じく武幸四郎騎手。
“勝っちゃいました・・・”という雰囲気が全開だった春と比べれば、

「今日は晴れていてきれいな芝だったんで、正直、自信ありました」*4

「とにかく自信持って乗れました」「落ち着いて乗れました」

と繰り返す口調は、とても力強かったし、

「(オーナーへの恩返しが)まだ足りない」

と言い切った口調には、今後に向けた強い意志も感じられた。

2位・スマートレイアーに騎乗した兄・武豊騎手を従えての今季G1、2勝目。
5年ぶりの重賞勝利、7年ぶりのG1勝利、そして同一年の複数G1勝利はもちろん初めて、という大きな当たり年となっているにもかかわらず、今年の勝利数は、秋華賞を勝った時点で、まだ「17」というささやかな数字に過ぎない*5

でも、ネットニュースで流れた幸四郎騎手のコメントの中の、

「人間もひと夏越して成長したかな」

というフレーズが*6、ちょうど同じような、微妙な年代を通り過ぎてきた者としては、すごく響いて聞こえるのであって、こうなるとやはり応援せずにはいられない。

兄・武豊騎手が久々の復活を遂げつつあり、“タケ”の名が途切れることがなかった時代の競馬にどっぷりつかっていた人間にとっては、嬉しい状況になりつつある昨今だけに、幸四郎も今度は別の馬でもう一丁・・・と思わずにはいられないのである。

*1:1番人気のデニムアンドルビーは追い込み一辺倒の極端な脚質で、秋華賞には一番向かないタイプの馬だった。この日の位置取りはそんなに悪くなかったように見えたが、いつもより前で競馬をさせたぶん、最後は末脚が鈍って結局4着と残念な結果になった。

*2:残り3ハロンの伸びだけはきっちり示していたことで、本番でのそこそこの人気につながったのだと思うが・・・。

*3:13番人気で天皇賞・春を制覇して世をあっと言わせた父親の血が遺伝した、と言われればそれまでなのだが。

*4:前走は重馬場で4着。

*5:オークスで久々にG1を勝ってからの約5か月で積み重ねた勝ち星は僅かに7つだけ。かくも中堅騎手にとっての現実は厳しい。

*6:http://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2013/10/14/kiji/K20131014006806310.html

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