いくつもの日々を越えて、辿り着いた金メダル。

男子体操の団体予選、「1位で通過しないと金メダルはない!」と、内村航平選手が頭からかっ飛ばしていくことを宣言していたにもかかわらず、ミスの連鎖でチームが散々な結果に終わった時、「またか」と思ったのは自分だけではないだろう。

誰もが認める才能とセンスを持ち、高いレベルで鍛錬を積んできた世界最高レベルの選手であるにもかかわらず、五輪、という舞台の異次元のプレッシャーの下では、100%の力を発揮できない。“有言実行”的な強気発言で自分にプレッシャーをかければかけるほど裏目に出る・・・。

「最初から最後までトップで走り抜ける」というプランを公然と口にしていたにもかかわらず、それがかなわなかった時点で、ロンドン五輪に続くチームの残酷な運命を思い浮かべても決して不思議ではないところだった。

それが、蓋を開けてみたら・・・。

未明、早朝時間帯の試合だったこともあって、自分が起きた後に目にしたのは断片的なダイジェストと表彰式後のインタビューのシーンくらいだったのだが、彼らがアテネ五輪以来の大きな足跡を残した、ということを理解するには、それだけで十分だった。

自分くらいの歳になってしまうと、冨田選手の伸身の新月面にゆずの曲がかぶるあのシーンがついこの間のことのように思えてしまうのだが、普通に数えるともう12年の歳月が流れているわけで、現場で闘っている選手たちにとっては、文字通り「過去の、乗り越えなければならない栄光」だったはず。
そんな大偉業を、僅か2日前には絶望の淵にいたチームが成し遂げてしまったのだから、これをサプライズと言わずに何と言うか・・・。

4年前のエントリーを見返したら、団体戦の演技で“人間の証明”をしてしまった内村選手が、個人総合で“まさか”の金メダルを獲得したことが驚嘆を込めて綴られていたが*1、あれから4年経った今年、同じような“まさか”を団体戦という最高の舞台で達成してしまった内村選手には、改めて感嘆せざるを得ない。

そして、“脇役”にするのはもったいないくらい各種目で見せ場を作った白井健三選手、田中佑典選手、加藤凌平選手、そして、4年前の悪夢を乗り越えた山室光史選手、と、様々なドラマを抱えた選手たちが、ほぼ揃って「決勝」でベストのパフォーマンスを発揮できた、というところに、実力はありながらもピーキングのズレ等々に泣かされた過去2大会を一歩超えられた何かがあったような気がする。

今後の勝因分析の中で、今回のプロセスが合理的に説明されるのか、それとも“人智を超えた何か”に説明が委ねられるのか(笑)は分からないけれど・・・。

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