2016年8月11日のメモ

数日前にも話題にしたとおり、今回の五輪はちょうど24時間の時差がある国で行われている、ということで、平日だと競技結果の速報は専ら夕刊に掲載されることになり、翌日の朝刊のスポーツ面に掲載されるのは、ワンテンポ遅れた回顧的な記事となってしまうことがほとんである。

なので、今日のように祝日で夕刊が休みの日は、号外でも手に入れない限り、「朝方の生々しい感動が翌日まで見出しにならない」というちょっと残念なことになってしまう。

今は、インターネットで充実した情報を(動画まで)リアルタイムで入手できる世の中だけに、“そんなこと気にしてるのはお前だけだ”という突っ込みも来そうだし、全国紙に夕刊が付いてくる地域、というのは、実は全国的には非常に限られた範囲でしかないから、“贅沢言うな”の一言で片づけられてしまう話なのかもしれないけど、今日はよりによって「早朝から金メダル3連発」という滅多にないような日だっただけに*1、ちょっと気になった次第。

人間味を覗かせながらも最後は完璧に決めたオールラウンダー

何と言っても、今日の競技のハイライトは、体操男子個人総合で内村航平選手が2連覇を成し遂げたことだろう。
そして、早起きした視聴者は、内村選手が最終種目で(トップレベル同士の争いでは絶望的とも言える)1点近い差をひっくり返して大逆転勝利を飾る、というドラマ仕立ての要素がガッツリ入った(というか、もはやほとんどサスペンス劇場に近い)極上のエンターテインメントを堪能することができた。

自分がLIVE中継を見始めたのは、ちょうど5種目めの平行棒、首位を走っていたベルニャエフ選手が後続にとどめを刺すような驚異的なスコアを叩き出したあたりで、これによって内村選手が突き放されるような状況になってしまった時点で、「今回はよくて銀メダルだろう。」と確信。
内村選手は、最後の鉄棒でなにか吹っ切れた感じで、4度の離れ技といい、微動だにしなかった着地といい、強烈なスコアが出ても全く不思議ではない試技をしたのだが、あいにくベルニャエフ選手の鉄棒の演技順は内村選手よりも後。

リードするポジションの選手としては、前の演技者の点数を見て演技構成を調整できるところで、実際の演技もリスクの高い離れ技はほとんどなく、素人目には逃げ切るための無難な構成にまとめていたように見えた。

だが、それは凡人の常識の世界の話。

実際にどうなったかは、既に多くの人が中継なり、その後のダイジェスト映像等で目撃されているとおりである。
ベルニャエフ選手のスコアが出た時点で場内からは大ブーイングが起きたが*2、経過はどうあれ、最後の最後でこんな見せ場を作ってしまうのがいかにも内村選手である。

プレッシャーがかかっている時や、疲労がたまっている時、さらに、どこかケガをした時など、端から見て非常に分かりやすい“人間としての顔”が表に出てくる選手でありながら、大事なところではきっちり結果を残す。そこが内村選手の素晴らしいところだし、彼が“不世出の・・・”という冠を与えられる由縁であるように思えてならない。

“重量級”が見せた意地

軽量級では一定の戦績を残すことが期待できるものの、後半以降はあまり計算はできない、というのが、今大会前の日本柔道陣に対する専らの評判だった。
それが、男子90キロ級でベイカー茉秋選手が、女子70キロ級で田知本遥選手が金メダルに輝く、という思いがけないサプライズに。

田知本選手は、ロンドン五輪にも出場しているものの、その後は世界柔道の代表にも落選し、世界ランク2桁で今大会に臨んでいた状況。
また、ベイカー茉秋選手も、伸び盛りの世代とはいえ、世界柔道では、敗者復活戦から銅メダルを確保、という実績しかない。

対戦相手の組み合わせをはじめとする、様々な巡りあわせが、予想もしなかったような結果をもたらすこともあるのが五輪の柔道の怖さであり、面白さでもあるわけで、今日はたまたま男女ともにそれがハマった、ということなのかもしれないが、いずれにしても何とも驚かされる結果だった。

個人的にはベイカー茉秋選手が決勝戦の最後の数十秒、リードしたポイントを守りに入って2つ目の指導を受ける、という、日本柔道の世界ではあまり歓迎されない作戦(?)を使ってまで金メダルを獲りに行った、というというところに、新たな時代をみたような気がしている。

無念の一次リーグ敗退〜男子サッカー/U-23

既に自力でのグループリーグ突破はなくなっていた日本だが、頼みの綱だったナイジェリアがコロンビアにあっさり0−2で敗れてしまい、無念の予選リーグ敗退、という結果となってしまった。

今日のスウェーデン戦は、元々このチームが目標にしていた堅守と、勝負どころでの厚みのある攻撃の両方がうまくかみ合っていた、という感じの試合だったから、手倉森監督が「この結果を受け入れるのはなかなか・・・」的なコメントを残されたのも十分理解できるところである。

正論としては、“今日のような試合を最初の2試合でできなかった以上仕方ない”ということにどうしてもなってしまうのだが、勝ち点4、得失点差プラスマイナス0での敗退、というのは決勝トーナメントに行けなかった近年の大会の中では、アトランタ*3に次ぐ良い成績だけに、選手たちには胸を張って日本に戻ってきてほしい、と思っている*4


今日は他にも、競泳200バタの星選手の銅メダルや、女子卓球個人での福原選手の執念の第4ゲームなど、ネタがかなり満載なのだが、この辺はまた機会を改めて。

*1:現地の10日終了時点でのメダル獲得数ランキングでは、米国、中国に次いで3位、という信じられないような状況になっている。

*2:着地が少し乱れたことを除けば明らかに分かるようなミスはなかっただけに、あの場内の反応がその場で見ていた人にとっての全てなのだろう、と思う。

*3:あの時はブラジルを含む2チームから勝ち星を挙げて勝ち点6まで伸ばしたのに、組み合わせの不運で決勝トーナメントに行けなかった。

*4:なお、個人的には、コロンビア戦で自軍のゴールに綺麗なシュートを打ちこんでしまった藤春選手と、ナイジェリア戦で5失点を喫して以来出番のなかったGK・櫛引選手にはもう一度ピッチに立ってほしかったのだが・・・。

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