ターフの上で絶え間なく続く世代間闘争の中で、何となく影が薄くなっている現5歳世代。
スプリント2冠のファインニードルや、春の天皇賞を勝ったレインボーライン、宝塚記念を勝ったミッキーロケットなど、今年に入ってからG1タイトルを奪った馬はそれなりにいるのだが、クラシックタイトルホルダーをはじめとする“一線級”の戦いになると、どうしても下の世代に食われ、上の世代に押しのけられ、という感が強い。
中でも、3歳時に有馬記念まで制し、4歳の春までは、世代トップどころかこの国を代表する馬として君臨する気配を見せていたにもかかわらず、近走は「出るたびに負ける」を繰り返していたサトノダイヤモンドは、マカヒキと並んで“弱い5歳世代”の象徴のような存在になってしまった。
それが、遂に、京都大賞典で1年7カ月ぶりの復活優勝。
長らく主戦を務めていたルメール騎手がダートG1に乗りに行ってしまい、初騎乗だった川田騎手の手綱で勝つ、というあたりも、何とも不思議な巡り合わせだと思うのだが、いずれにしても、ちょうど1年前、凱旋門賞の大敗から狂い続けていた歯車がようやく噛み合う兆しを見せてきた、というのは何とも嬉しい話である。
自分は未だに、この「良血2億円超馬」が強かった頃の憎たらしいイメージが脳裏にこびりついているから、今に至っても馬券を買って応援、などという気にはなれないし、応援するなら断然、アドマイヤドン産駒のアルバート!という感じだったのではあるが*1、こと今年の秋の世代間の戦いを面白く見たい、という視点からは、4歳の上がり馬・レッドジェノヴァを貫禄で退けたこの日のサトノダイヤモンドの走りに、拍手を送らざるを得なかった。
残念ながら日曜日の毎日王冠では、5歳馬の出走自体がなかった上に、レースの方もアエロリットが圧巻の逃げきり勝ち、菊花賞以来存在感を消していたキセキも先行逃げ粘りの新境地を開いて3着、と相変わらず現4歳が圧倒的な存在感を示しているのだけれど、逆に3歳馬のステルヴィオが豪脚を発揮して2着*2、と下からの突き上げを見せている。
いよいよ迫りくる天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念、といった新旧混在の芝中長距離戦の中で世代間の勢力図がどの程度変わっていくのか、少し楽しみが増えた、そんな気がする。