復活の狼煙と立ちはだかる「世代の壁」

ついこの前始まったと思った夏競馬も、あっという間に終盤に差し掛かりつつある。

この時期になると、「夏競馬」と言っても、下級条件戦(3歳馬の場合)からオープンクラスのレースまで、実質的には秋のG1シリーズに向けた前哨戦、という意味合いが強くなるのだが、今日のG2・札幌記念などは、まさにその典型のようなレースだった。

例年以上に重賞タイトルホルダーが揃う中でも、抜群の存在感を放つダービー馬・マカヒキ
一方で、3歳秋のフランス遠征以降、同馬が輝きを失っていたのも事実なわけで、この日も1番人気ながら、付いたオッズは観衆の“恐る恐る”感が如実に現れている「4.3倍」。

他の上位人気馬も、2番人気のサングレーザーは長らくマイルを本職としていた馬、4番人気のモズカッチャンはドバイ遠征以来の出走、ということで、個人的には、昨年の覇者、サクラアンプルール*1や、マイスタイル、スティッフェリオといった洋芝実績のあるこの夏の上がり馬の方が気になっていて、馬券的には非常に妙味のある一戦だな・・・という印象だった。

蓋を開けてみれば、最終的に上位を占めたのはG1馬2頭と、G1が手の届くところにまで来ているサングレーザーで、思いのほかつまらない結果になっているのだが、1番人気の組み合わせながら馬連が4ケタ配当になっていたり、ワイドもそれなりの高配当になっているところを見ると、筆者に限らず、皆頭を悩ませた一戦だった、ということなのだろう。

そして、そんな懐疑的ムードの中、ようやくマカヒキが“らしさ”を見せてくれたことで、胸をなでおろした関係者も多いはず。
稍重馬場とはいえ、タイム的には決して速い時計とはいえないし、ゴール前であれだけ豪快な差し脚を見せながら、最後の最後でサングレーザーを捕まえきれなかった、というあたりに、昨年来揶揄されている“世代の弱さ”を感じたのも確かなのだが、サトノダイヤモンドに全く復調の兆しが見えない中、世代の元看板馬が、秋の天皇賞ジャパンCで「最強4歳世代」と互角に渡り合えそうな気配をようやく醸し出してくれた、ということにまずは感謝したいと思っている。

久々の騎乗で最後の脚を引き出したルメール騎手が、秋の大舞台でこの馬の手綱を取る可能性は決して高くないし、万が一、この日勝った馬に何かの弾みで乗り替わるようなことになれば、「世代の壁」は、ハナ差なんてものでは済まない高いものに再び逆戻りしてしまうような気もするのだが、今は“復活”に微かな希望をもって、眺めておくことにしたい。

*1:直前の函館記念でも2着に食い込む波乱を演出しているにもかかわらず、今回も7番人気に留まっていた。

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