余韻を残して去った至宝の25歳。

中央競馬も早いもので、今年前半戦が終わりに近づき、夏のグランプリ・宝塚記念を迎えることに。
そして、4月の初来日以来、衝撃的な活躍を続けてきたオーストラリアのダミアン・レーン騎手が、短期免許最後の騎乗週で、また強烈なインパクトを残してくれた。

まず22日の土曜日、東京で一日5勝の固め打ち*1
そして、日曜日は7レースでさらに勝ち星を上積みした上で、メインの宝塚記念で3番人気・リスグラシューを操って堂々の優勝。

リスグラシューは既に国内で昨年のエリザベス女王杯のタイトルを持っているし、海外でもコンスタントに良績を挙げている馬だが、いつも発揮してくれる強烈な末脚と裏腹に、”あと一歩届かない~”という嘆き節がこぼれるレースも実に多い馬だった。

それが、スタート直後からするすると前に上がって、ぴったりと大本命・キセキの後ろに付け、2番手追走から直線で力強く抜け出して3馬身差の快勝。

我々が何となく抱いていた”追い込み脚質の馬”という先入観を見事なまでに覆し、ビッグタイトルをもたらしてくれたのだから、これを名騎乗と言わずに何というか・・・。

短期免許来日中のこの2か月の間にレーン騎手が残した数字は、【37 11 18 57 】。
連対率39.0%、3着内率53.7%は決してとびぬけた数字ではないものの、勝率30.1%というのは他の国内一流ジョッキーと比較しても断トツで抜けている。

バックにノーザンファームが付いていて元々良い馬が回ってくる環境だったうえに、クラシックシーズン真っただ中でルメール騎手の騎乗停止によるお手馬乗り替わり、という幸運に恵まれたのは事実だが、思い切った戦術で、それまで勝ちきれなかった馬に多くの白星をプレゼントしたのは間違いなく騎手の腕。
そして、「乗った馬で勝ち切る」という能力に関しては、昨年旋風を巻き起こしたモレイラ騎手と並んで一級品だ、ということを証明して去っていくことになる*2

外国人騎手と言えば、かつて、オリビエ・ペリエ騎手が抜群の巧さで一世を風靡したし、その後、デムーロ兄弟やクリストフ・ルメール、という騎手たちが現在に至るまで一級品の活躍を見せてくれているのだが、ミルコ・デムーロ騎手とルメール騎手が日本に定着したところで、2年続いた新たな「黒船」。

こうなると、やっぱり世界は広いなぁ、の一言しか出てこないのだが、外からの刺激を活かすのが日本人の真骨頂
レーン騎手が年内に再来日する可能性があるかどうかは分からないけれど、できれば、次の来日の機会までには、現在リーディングトップ、かつ勝率でもレーン騎手に最も近いところにいる川田騎手に「勝率30%超え」を果たしてもらって、堂々と迎え撃ってほしいな、と思うところである。

*1:このうち、1番人気だった馬は一頭もない。

*2:今回とは戦法こそ異なるものの、昨年リスグラシューに貴重な初G1勝利をもたらしたのがモレイラ騎手だった、というのも単なる偶然ではないと思っている。

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