あっという間に過ぎていく夏を惜しむように。

基本的に、自分は、「夏は暑くなればなるほど嬉しい」というタイプの人間である。

なのに、今年は長引いた梅雨のせいで、夏らしい陽射しを感じるタイミングはずいぶん遅くなってしまい、8月も半ばくらいになってようやく蝉の声を聞き始めるような状況だった。

それが、徐々に夏らしさを増し、先週あたりになってようやく「二階建て高気圧」のおかげでようやくクライマックスに達したか・・・!と思ったら、この週末は台風接近で荒れ模様の天気に逆戻り。

幸いまだ暴風雨に見舞われるようなことにはなっていないが、今日の夜などは、外に出ると思った以上に気温が下がっていて、鈴虫の鳴く音さえ聞こえる。

これだとあまりに夏が短すぎるよ・・・とちょっと焦ったりもしているのだが、こればっかりは人間の叡智を尽くしてもどうにもならないわけで、今年の夏競馬の変則的な番組編成を眺めつつ、せめて「夏」の終わりを感じさせるイベントがすべて終わるまでは、どこかしらかに夏らしさが残っていてほしいな、と思う今日この頃である*1

そんなわけで札幌記念

ここ数年は、GⅠ馬が続々参戦して盛り上がっていたこのレースも、今年はわずか12頭立て。顔ぶれ的にも随分と寂しい印象だった。

本来ならここを凱旋門賞に向けたステップレースに使ってくるはずの一線級の馬の多くが、今年は秋のGⅠに備えて未だ休養中*2

新型コロナで海外遠征が難しくなったために、いつになく国内戦線の出走馬の層が厚くなりそうだ、というのは決して悪い話ではないのだが、ここ数年慣れ親しんだ感もあった日本の「内」と「外」での”分業”がワークしなくなったことで、漂う閉塞感とか違和感のようなものもきっとあるはずで、今日のレースがその始まりになるのかな、と思わずにはいられなかったところもある。

とはいえ、北の国のGⅡ、夏競馬では最高峰のレースだけに、ファンファーレは久々に聞いた生演奏だったし、中身の方も十分に見ごたえはあった。

今年出走した数少ないGⅠ馬のうち、今年の実績では一番だったラッキーライラックが、断トツの人気を背負ってレースを引っ張る。

4コーナーを回って先頭に立ち、威風堂々ヴィクトリーロードを行くか?と思えた瞬間もあった。

だが、鋭く差してきたのが同じ5歳牝馬のノームコアと、残るもう一頭のGⅠタイトルホルダー・ペルシアンナイト。

去年、一昨年とサングレーザーが上位に食い込んでいたことからも分かるように、このレース、芝2000mながら意外とマイラー色の強い馬に合っていたりする。

しかも、突っ込んできた2頭はいずれも洋芝適性の高いハービンジャー産駒。

そうなると、もはやラッキーライラックをもってしても抗しがたく、結局、1分59秒4、札幌にしては際立つタイムでノームコアが優勝。

ペルシアンナイト、ラッキーライラックと続き、GⅠ馬3頭が上位を独占する、という決着となってしまったのである。

冷静に眺めれば、あまりの分かりやすさゆえに、かえって今年の出走馬層の薄さが際立ってしまった、と言えなくもないレースだったのだが、上位3頭だけ見れば立派な好勝負だった、と言えるのではないか、ということで、今年も伝統が守られたのは何よりのこと。

まだまだ夏競馬はあと2週残っているとはいえ、札幌記念が終われば夏も終わりに向かっていく。そんなターニングポイントにもなるレースだっただけに、大きな波乱もなく決着したこと、そして何より、無観客ながらここまで無事開催を継続してきていただいたことに感謝して、ここから秋に向けた妄想に思考をめぐらそうかと思っているところである。

*1:何といっても新潟記念が「9月6日」だったりするものだから。そこまで暑さが保たれているのかどうか・・・。

*2:おそらくずっと欧州に待機しているディアドラ以外の出走馬は今年は出ないのだろうと思われる。

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