こんな時だからこそ楽しめるもの。

そうでなくても新型コロナで街に出かけるのが憚られる気分になっている上に、ここに来て一気に例年に輪をかけた冷え込み・・・。

昨シーズン、雪不足に泣かされたスキー場関係者がかけた願があまりに強烈過ぎたのか、北の方では豪雪のニュースも飛び込んできて、まさに踏んだり蹴ったり日本列島、という感じになっている*1

そんなこともあって、結局、世の中的には連休初日だったらしいこの日も、仕事を細々とこなしつつほぼ日中を自宅で過ごすことになったのだが、そんな中、気分転換に最適だったのが、最近すっかりはまっている↓ 

file.veltra.com

ベルトラ㈱さんのオンライントラベルツアー(ベルトラオンラインアカデミー)である。

元々、海外に行く時は現地の足の手配等でも良くお世話になっていた会社で、観光どころか出張需要さえ消失した昨年春以降、売上が激減して苦しい状況にあることも知っていたから*2、最初は一種の義侠心で申し込んでみたのだが、これが意外にも新鮮、そして面白い。

特に我が家でブームになっているのが「ライブ街歩き」シリーズで、Zoomを使って現地にいるガイドさんとダイレクトにやり取りしながら、パソコンの画面越しに、彼/彼女たちが歩く街の風景を眺める。たったそれだけのことなのだが、旅番組やプロモーション動画のようないいところだけ切り取った映像ではない、というのが良い。

すれ違う人々から声をかけられることもあれば、お目当ての店が閉まっていて慌てて別の行き先を探す、なんてハプニングもある。そして、どこの国でも、新型コロナの影響がちょっとずつ出ていて、人が集まっている店の周りでシャッターを閉めてしまった店の姿が映っていたりもする。

元々、出張に行ったときでも、ちょっとでも空き時間があれば*3、ホテルからとことこ歩いてローカルな店で飯を食って買い物をして、という瞬間的な日常を楽しむのが自分の流儀だったし、プライベートの観光でも、コテコテの「ツアー」はほとんど使わず*4、自分の足とUberで自由に動き回って現地の空気を楽しむ、というのが自分の海外体験のベースにあるものだったりするから、派手な観光地に行くわけでもない、特殊なイベントもない、単純にそこにあるものをそのまま伝えてくれる、というスタイルがすっぽりハマったのかもしれないが、現地で頑張っているガイドさんたちとのコミュニケーションも含めて、これが実に充実した良い時間になっている。

世界は広いから、地域によっては、新型コロナがなくてもそう簡単に足を運べないところも多い。

あと、その国まで飛んでいくことはできても、ローカルのマーケットだったり、地元の人々で賑わうエリアだったりすると、外国人向けの宿泊施設エリアやビジネス街からはちょっと距離があって、現地滞在スケジュールの都合や、足回りの不便さ*5、さらには治安への懸念等から、どうしても足を運びにくかったりもする。

だが、オンラインであれば、そんな制約は軽々と飛び越えられてしまう。そして何よりも、実際に現地に行くことを考えれば、参加するためのコストも格段に安い。

いくら目の前にお客さんがいないからといって、せいぜい1回(or 1人)当たり2,000~3,000円のレベルでは、(日本の会社にとっては)経営にとっての大きなインパクトには到底なり得ないから、現時点では、こういった試みは、収益確保それ自体が目的、というより、会社にとって最大の商材である現地エージェントを少しでもつなぎ留めておく、という意味合いの方が大きいものではないかと思うところもある。

ただ、さらに工夫を重ねて、現地の商品の購入等もオプションに入れることで、より取扱高を引き上げていく余地はあるかもしれないし、何より、再び人が動き出す時のことを考えると、こういう形でヘビーな海外渡航者たちの”旅心”を冷まさずに温めておくことには十分すぎるほどの意味はあるはず。

だから、ベルトラに限らず、昨年以来、大手旅行代理店から、個人間のSNS的なプラットフォームを構築していた事業者まで、国内外問わず次々と「オンラインツアー」「バーチャルツアー」への参入の動きが出ていることも当然だろうな、と理解はできる*6


昨年以降、「ニューノーマル」の掛け声の下で、「オンライン○○」と呼ばれるものが次々と出てきているが、「これはさすがに定着させるには無理があるだろうな」と思ってしまったようなものは多かったし、一部では定着している、とされる「オンライン飲み会」も、それまでの飲み会とは全くの別物、と割り切らない限り参加するのは難しい*7

でも、ことトラベルツアーに関して言えば、オンラインでも得ることができるものは多々あり、加えて「オンラインだからこそ経験できる」こともたくさんある。

人が自由に国内外を行き来できるようになるまでにはもう少し時間が必要。

だからこそ、それまでの間、それをつなぐための企画は次々と打たれ続けていてほしいし、何よりも、こんな時でもこういう形で新しいことに挑戦し続けている会社には、現地の代理店ともども、最後まで生き残っていてほしい、と思うわけで*8、本エントリーを読まれた方々が、少しでもここでご紹介した新趣向を試していただけるようになることを、自分は願ってやまない。

*1:ごく一部のスキー場関係者にとってはありがたいものかもしれないが、かつて雪国と呼ばれる地域に住んでいた経験上、「雪なんぞ降らないに越したことはない」というのが大半の地元民の思いだ、というのも良く分かっているので、何とも言えない気分になる。

*2:昨年の11月には、四半期報告書に継続疑義注記が付される、というリリースも出された(ベルトラ[7048]:継続企業の前提に関する事項の注記についてのお知らせ 2020年11月16日(適時開示) :日経会社情報DIGITAL:日本経済新聞)。

*3:その空き時間を作るのが至難の業、ということも多かったが・・・。

*4:せいぜい空港とホテルの間の送迎くらい。

*5:Uberがリーズナブルに使える国、地域であれば、ガイドブックに載っていないようなマニアックな場所にもまぁまぁ行けたりはするのだが、そうでない国だとどうしても行ける場所は限られてくる。

*6:もっとも海外に関しては、ベルトラに匹敵するレベルの「品揃え」を用意している競合事業者は日本にはまだ存在しないように思われる。やはり、ここは従来の「本業」で培った力と、元々オンライン主体でオペレーションしていたことの有利性が存分に発揮されているような気がする。

*7:大人数の飲み会だと、やっている間中、全員が一つの話題に集中して会話する、というシチュエーション自体がリアルでは絶対にありえないのに必然的にそうなってしまう「オンライン飲み会」は、肩の力が抜けた「飲み会」というよりは、一種の「会議」だと自分は思っている(少人数の会なら、席を囲んでずっと同じ話題で盛り上がり突ける、ということはリアルでもよくあるが、その程度の人数ならわざわざZoomなんて持ち出さなくても、実際に集まって飲めばいいじゃん、というのがついこの前までの日常だったので、結局、自分は「オンライン飲み会」はほとんど実施も参加もしたことはない)。そして、会社が率先して職場での「オンライン飲み会」を強要するような環境だったら、自分は間違いなく最初の一週間で逃げだすような気もする。

*8:逆に、こんな状況でも従来のビジネスモデルの基本を大胆に変えることはせず、Go To トラベルでもこれまでのどおりの団体送客だよりで安穏と切り抜けようとしていた一部の同業他社に対しては、今回のコロナ禍を機にいっそのこと淘汰されてしまう方が良いのではないか、という感想しか出てこない。

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