有馬記念で年度代表馬が決まる瞬間を見届けられた幸福感。

1年が経つのはあっという間。

毎年この時期になると思うことではあるが、特に今年は一年の3分の2くらい「コロナ禍」に振り回された年だったこともあって、なおさらその感が強い。
ようやくいろんなものが正常に回り始めるようになったと思ったらもう終わり・・・みたいな。

ということで、カレンダーのめぐりで例年より少し日が早く、昨年のように「最終開催日」ではない、ということを差し引いても、今年の有馬記念は実にあっけなく始まり、そして終わった

かつては「ここで勝ってナンボ」というレースだった冬のグランプリレースも、最近では昨年とその2年前のアーモンドアイのように「回避」した馬が年度代表馬のタイトルを持っていくことも増えたような気がして、開催の編成上、”大トリ”ではなくなったことと合わせてちょっと寂しさを感じることも多かった。

だからこそ、秋の天皇賞で、コントレイル、グランアレグリアを撃破した3歳馬・エフフォーリアが、ここで「ザ・グランプリホース」のクロノジェネシスまで切って捨てて、名実ともに「頂点」に立った、というのは実に喜ばしいことだと思っている。

募集時にはまだ海のものとも山のものとも分からなかったエピファネイアの産駒で、募集価格は僅か一口7万円。しかもそこまでハードな抽選にはならずに手に入れることができたのが、今の幸運な馬主たち。

横山武史騎手が前日に不注意騎乗を冒し、GⅠの勝利騎手インタビューで開口一番謝罪の弁を述べることになった半弟・ヴァンガーズハートも、父・ハービンジャーで一口7万5000円の募集だったから、クラブ側もエフフォーリアのデビュー前にそこまでの高い評価はしていなかったように思われる*1

それが、今年募集のかかった半妹は、種付け料が高いモーリス産駒であることを差し引いても一口14万円・・・。

これこそが、エフフォーリアという馬がこの1年ちょっとの間に自らの走りで勝ち取った「付加価値」であり、それを2年前の夏の時点で見抜いていた方々の慧眼にはただただ恐れ入るしかない。

結果的に、昨年は赤く染まった古馬GⅠ戦線の勝ち馬のリストも、今年は”定位”に戻った。

フェブラリーステークス カフェファラオ 牡4
高松宮記念 ダノンスマッシュ 牡6
大阪杯 レイパパレ 牝4
天皇賞(春) ワールドプレミア 牡5
ヴィクトリアマイル グランアレグリア 牝5 ※牝馬限定
安田記念 ダノンキングリー 牡5
宝塚記念  クロノジェネシス 牝5
スプリンターズステークス ピクシーナイト 牡3
天皇賞(秋)  エフフォーリア 牡3
エリザベス女王杯 アカイイト 牝4 ※牝馬限定
マイルCS グランアレグリア 牝5
ジャパンC コントレイル 牡4
チャンピオンズC テーオーケインズ 牡4
有馬記念 エフフォーリア 牡3

ここで気を吐いている数少ない牝馬陣も、グランアレグリア、クロノジェネシスが今年で引退となれば、中央の舞台で牡馬と互角に戦うのはますます難しくなってくるだろう。

そうでなくてもコロナ禍が明けて多様なレジャーが戻ってくる中、ここ1,2年、何かと話題を振りまいていた「強い牝馬」に三冠牡馬、さらにワールドプレミアやダノンキングリー、ダノンスマッシュといった渋めのタイトリスト達まで次々と引退してしまう中央競馬界にとって、2022年という年は、決して明るい未来が開けている年ではないのかもしれないが、今は、おそらく今年の年度代表馬になるであろう3歳の新王者と、それを取り巻く層の厚い芝中長距離の3歳陣を中心に、”ポスト・コロナ”時代の新しい競馬の歴史が再び始まることをひそかに期待している。

そして、来年こそは、自分の出資馬がその一翼を担えるポジションまでたどり着いてくれることを信じてやまない・・・*2

*1:もっとも、半弟の募集はエフフォーリアが鮮やかなデビュー勝ちを決めた直後だったこともあって、相当の人気にはなっていた。

*2:ささやかな自慢をすると、今年は投資を始めてからの十数年の歴史の中で、出資馬の出走数、勝利数、入着数の全てがベスト更新、重賞こそ未勝利ながら賞金も過去2番目という嬉しい年になった。下手な鉄砲数打ちゃ・・・というところがないわけではないが、継続は力なり、である。

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