世の中が新年早々騒然とする中、早々と開幕、今年最初の開催日を終えたばかりの中央競馬。
東西金杯の売上の数字だけ見れば、これまでの右肩上がりはどうなったのか*1、という印象も抱きそうになるが、1年前のカレンダーを思い出すならば、昨年の開催初日は日曜日。
今年は既に仕事が始まった平日で、しかも、どの会社でも、例年のように”あいさつ回り”と称して昼過ぎからふらっと出かけられるような空気ではおそらくなかっただろうから、それでもなお対前年で8~9割近い数字を記録している、ということだけで実に凄い話。そして、緊急事態宣言に突入して多くの人が予定を飛ばしたこの週末(開催2日目以降)は、おそらく”倍返し”の数字が記録されるのではないかと思っている。
で、そんな活況が続く業界の年始の一大イベント(正確には前シーズンの最後のイベント、というべきなのかもしれないが)、「2020年度JRA賞」が今日発表された。
このJRA賞、昨年は、それまでとは大きく傾向が変わり、世の中をかなりざわつかせたのだが*2、今年はうって変わって「ど」が付くほど順当な結果に。
まず、最初に来るのは当然この馬。
これは、ジャパンカップで旬の3歳三冠馬2頭を葬り去った時点で、多くのファンが確信した結果だと思うし、記者投票でも、2位の牡馬三冠・コントレイルが44票集めたものの、他の票はほとんどがアーモンドアイ(236票)に流れる結果となった*3。
ここのところ、牝馬の受賞ばかりが目立っているから、他の馬だったら「今年もまた牝馬か・・・」というつぶやきが聞こえてきても不思議ではないのだが、この馬に関しては、牡牝の差を超越して、圧倒的に強かった、という以上の感想は出てこないような気がする。
また、昨年は「朝日杯じゃないんだ!!」という驚きが走った最優秀2歳牡馬部門も、振り返れば受賞していたのがコントレイルだった、という事実だけで投票した記者たちの眼力の確かさが見事に証明されたわけで、その流れは今年も続き、無敗でホープフルSを制した馬が、昨年以上に朝日杯2歳FS馬(グレナディアガーズ)に大差を付けて受賞。
最優秀2歳牡馬 ダノンザキッド
最優秀2歳牝馬のタイトルは昨年同様、満票で阪神JF馬、ソダシが持っていっている。
次いで、昨年はかなり票が割れていた3歳部門だが、今年は割れる要素は皆無で、以下の2頭が文句なしの「満票」で受賞。
最優秀3歳牡馬 コントレイル
最優秀3歳牝馬 デアリングタクト
昨年ウインブライトが受賞して???となった最優秀4歳以上牡馬部門も、今年は283票中241票、という高い支持率の元、安定した戦績を残した以下の馬が受賞した。
最優秀4歳以上牡馬 フィエールマン
年代カテゴリーを離れても、”順当”な結果は続く。
マイル・スプリントGⅠで合計3勝、安田記念で年度代表馬にも土を付け、世が世なら自らが年度代表馬になっていても不思議ではなかった馬が取りこぼし僅か1票*4で堂々の受賞。
最優秀短距離馬 グランアレグリア
最優秀ダートホースは、少し票が割れたものの、ジャパンカップダートの実績を受けてチュウワウィザードが受賞。
最優秀障害馬は、オジュウチョウサンを乗り越えてメイショウダッサイに。
かくして競走馬部門のタイトルホルダーは確定した。
強いて言うならば、上記のリストの中に、春秋グランプリ連勝のクロノジェネシスが入っていなかったり*5、同じくGⅠ2勝のラッキーライラックも全くと言ってよいほど出番がなかったり、といった点が「波乱」というべきなのかもしれないが、同じ年に同一カテゴリー・性別の古馬からは1頭しかタイトルホルダーが選ばれない、というのは今に始まったことではないから、涙をのんだ馬たちには、
「年度代表馬級の活躍まではできなかった以上、”無冠”で終わるのもやむを得ない」
という残念なセリフをプレゼントするほかない。
ちなみに、昨年の「大波乱」が招いたのは、「競馬戦国時代」ではなく、世の中の混乱そのものだった・・・
そう考えた時、今願うべきは、今年の「堅い」決着が、昨年とはうって変わって安国泰平の世をもたらしてくれるのかどうか、ということなのかもしれない。
競馬は荒れても世の中は平和に収まる。
それが、自分も含めた多くの人間にとって良いことなのは間違いないので、馬券の売上が今年も伸びることを期待しつつ、収まるところは収まるところできちんと終わってくれることをただ願うのみである。