最悪の一年の最後の日に。

とうとう、暦の上では2018年最後の日を迎えることになってしまった。
このタイミングになると、例年、何かしらの振り返りはしているのだけど、今年は昨年に輪をかけて、振り返るのも嫌になるくらいの“内憂”続き。
狭いコミュニティのコントロールにもがき、内心の葛藤と戦っているうちに、あっという間に日が過ぎてしまった、というのが現実である。

仕事の成果はそれなりに、というか、ここ数年では一番といってよいくらい目に見える形で挙がっていたし、会社を離れても自分個人としてはいろいろと新しい挑戦ができた一年だった。だから、客観的には「良い年だったな・・・」と左団扇でこの日を迎えられても不思議ではないのに、それができない悔しさ。

外側からは窺い知れないような棘が心に刺さったまま年を越すのは何とも残念なことではあるのだが、これまで自分のモチベーションを辛うじて支えていた「組織の中だからこそできる」とか、「組織で何かを成し遂げることに意味がある」といった幻想をきれいさっぱり捨て去ることができた、という点で、来年以降の自分自身の選択の可能性が広がったのも確かなわけで。

後から振り返った時に、今年のちょっとした出来事が更なるブレイクスルーにつながるターニングポイントだった、と言えるかどうかは、新しい元号に切り替わる頃の自分の選択にかかっている・・・そんな強い決意とともに、新しい年を迎えたいと思っている。

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根拠なき「自由貿易」礼賛の陰で・・・。

長きにわたる議論と交渉の果てにようやく日の目を見たTPPが12月30日に発効する、ということで、今朝の日経新聞は「巨大な自由貿易圏」礼賛一色だった。

その一方で、ひっそりと掲載されていたのが知財ルール米離脱で凍結」という見出しの記事*1
TPPの交渉経緯を考えれば、米国が入らない以上、知財関係のテキスト部分は全てなかったことにしても良いくらいだし、少なくとも関係国の合意で「凍結」された事実くらいは尊重する、というのが本来取るべき態度だと思うのだが、記事の中にはなぜか、「日本は独自に著作権の保護期間をこれまでより20年長い70年に延長。特許申請ルールを整備するなど、凍結分野の一部を自主的に実施する方針だ。」という奇妙な一文も登場する。

前者(保護期間の延長)に関しては、福井健策弁護士をはじめ、これまで議論を呼びかけて来られていた方々から様々な反応が示されているが、単純に「期間が延びる」ことに関しては、自分はそこまでセンシティブには受け止めていない。

世界を見渡せば、著作権の保護期間を「70年」に設定している国・地域は随分と多くなっているし、そもそも「50年」が「70年」になることによって(バプリックドメインになることが20年遅れることによって)何かが変わるのは、ほんの一握りのコンテンツだけ。

保護期間が延びることで、孤児著作物が増加することを懸念する声もあるが、時が経てばたつほど権利に関心を持つ関係者の数も減ってくる、という現実を考慮すると、使う側で過度に抑制しなければ*2、むしろ「事後許諾」の運用定着&「実質報酬請求権化」の契機となる可能性すらある。

なので、今の時点でそんなに悲観的にならなくても、というのが総論的な感想。
ただ、常識的に考えれば来年1月1日に施行される改正著作権法に合わせて改正すべき「保護期間」の規定を、なぜか今や無関係となった「TPP発効」の日付に合わせたことに対しては、全くもって釈然としない。

元々「TPP12」に合わせて改正する予定だった5項目を一体で議論してきたから、「12」が「11」になって一部項目が凍結されても全部セットで・・・というのが文化庁サイドの言い分なのだろうが*3、元の協定で全締結国が受け入れる条件にならなかった以上、ここは分けて議論した上で施行するのが本来の筋だろう。*4。。
そしてそういった考慮もなく、淡々と施行した結果、あと数日で権利保護期間を終えるはずだった1968年没の著作者の作品が"救済”されることになった、というのは、それが単なる偶然だったとしても何とも気持ちが悪い話。

まぁ、全ては自国内で長年積み重ねられてきた議論をスルーして、「結論ありき」で話を進めてきた結果が一連の妙ちくりんな改正(12月30日施行)だから、改めて全国の農家と一緒に「全部TPPのせいだ!」と叫んでも良いのだけれど、”根拠なき礼賛"で湧き立つ今の日本の国内では、そんな声も届きそうにないのが何とも残念なところである*5

*1:日本経済新聞2018年12月30日付朝刊・第3面。

*2:今の「過剰コンプライアンス」時代にはこれが一番難しいところなのかもしれないが、ここは法務・知財担当者の心構え一つでどうにでもなる話なので、今後どんなに時間がかかっても、マインドが変わっていくことを信じたい。

*3:保護期間の延長と技術的保護手段を除けば、TPP11でも「凍結」されてはいないから、12月30日に改正法を施行する義務が生じる、ということになりそうである。

*4:http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/kantaiheiyo_hokaisei/では、その辺の経緯の説明がなく淡々と「TPP11に合わせて施行します」と書かれているのだが、それはちょっとどうかな、と思うところはある。

*5:個人的には、高度成長期やその貯金が残っていた時代ならともかく、日本の従来の基幹産業の足腰が弱った今、地域単位でオープンな経済圏を構築しても、他の東南アジア諸国にシェアを持って行かれるだけで、日本国内の産業の衰退を加速するだけだと思っていて、何年か経った後に、あれが終わりの始まりだった、と言われなければよいな・・・と心から願っているのだけど、日頃聡明な人でも自国の産業の話になると途端に根拠なき強気論に走りがちになるのはなぜなのだろうか・・・。

ベネッセ情報流出事件をめぐる司法判断の混迷

2014年に発覚したベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件。
個人情報保護法改正の動きに影響を与えるくらいのインパクトはあったし、司法判断に関しても、いくつかの下級審判決に加え、先行していた姫路ルート(第一審判決は、神戸地裁姫路支部平成27年12月2日に出されている)では昨年の時点で最高裁の判断(最二小判平成29年10月23日)まで出されていて、個人情報漏洩の法的責任の所在や、漏洩が生じた場合の情報主体への損害賠償の水準、といった問題を考える上で、非常に興味深い素材を提供してくれている。

そんな中、年末に飛び込んできたのが、「ベネッセ側に賠償命令 情報流出1人当たり3300円 東京地裁」という見出しの以下の記事である。

「2014年に発覚したベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件で、被害に遭った顧客ら計462人が同社と関連会社に慰謝料など計3590万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。河合芳光裁判長は関連会社に対し、1人当たり3300円、計約150万円の支払いを命じた。ベネッセの賠償責任は認めず、請求を棄却した。」(日本経済新聞2018年12月28日付朝刊・第29面、強調筆者、以下同じ。)

このニュースの注目ポイントは2つあって、1つは、賠償額として「3,300円」という金額を認めたこと。そしてもう一点は、ベネッセの100%子会社であったシンフォーム(システムの開発・運用子会社)の賠償責任は認めたものの、「ベネッセコーポレーション本体」については、「派遣社員スマートフォンを使ってデータを転送した方法について予見可能性はなく、指揮監督関係もない」として賠償責任を認めなかったことである。

興味深いことに、同じ東京地裁で今年の6月に出された判決では、今回と真逆の判断が下されている旨が報じられていた。

「2014年に発覚したベネッセコーポレーションの顧客情報流出事件を巡り、被害に遭った顧客ら計約180人が同社などに損害賠償を求めた訴訟で東京地裁は6月に請求を棄却する判決を出した。ベネッセ側が「おわび」として500円相当の金券を配布していたという事情も考慮した。原告側は7月に控訴し、係争は続いている。個人情報の保護意識が高まるなかで「500円」は妥当なのか議論が分かれる。」
東京地裁の判決はベネッセ側がデータ管理を委託した会社の監督を怠ったとして注意義務違反を認定した。一方で流出した情報が「思想信条や性的指向などの情報に比べ、他者にみだりに開示されたくない私的領域の情報という性格は低い」と指摘。実損が明らかになっておらず、ベネッセ側がおわび文書や金券の配布をしたことも考慮し、「慰謝料が発生するほどの精神的苦痛があるとは認められない」と判断した。」(日本経済新聞2018年10月29日付朝刊・第11面)

両者の違いは、単に「請求一部認容」と「棄却」という最終的な結論の差異にとどまるものではない。
現時点では「むやみに精神的損害を否定してはらない」*1ということ以上の縛りがない「損害額の算定」問題に関して言えば、客観的な金額算定が事実上不可能である以上、判決ごとに幅が出ることは容易に想像が付く話だったし、一連の判決でどういう金額が示されそうと、それが他の案件にダイレクトに影響することになるとは、ちょっと考えにくい。

しかし、6月の判決で東京地裁が認めた「ベネッセコーポレーション本体の注意義務違反」を今回の判決が認めなかった、という事実は、(結論としてはさして違和感はないものの)今後の同種訴訟での判断に大きな影響を与える可能性がある*2

ベネッセコーポレーションにしてみたら、相被告(業務委託先)が100%子会社だった以上、自身の法的責任が認められようが認められまいが「連結」単位でダメージを受けることに変わりはないし、支払済みの「500円」を大きく超える損害賠償が認められてしまえばなおさら、ということになるのだが、一般的なシステムの開発・運用の委託関係への射程まで考慮すると、やはりそう簡単に責任主体を拡張されては困るわけで・・・。

既に事件から5年近く経ち、司法府が客観的な立場で冷静に判断できる環境は十分整っていると思うだけに、続く地裁レベルの判決、さらには、高裁、最高裁レベルでの冷静な判断を期待している。

*1:最高裁判決の主旨を善解すると、こういうことになるのだろう。

*2:この点に関しては、既に公表されている千葉地判平成30年6月20日でも同様に被告ベネッセの責任を否定しており、6月の東京地裁判決の方がむしろ勇み足、という印象が強かった。

波乱なき最後の一日。

有馬記念の後に訪れた、中央競馬最後の開催日。
昨年は、ルメール騎手がまさかの0勝で200勝の大台を逃す、という“波乱”もあったので、今年も若干の不安と期待をもって見守っていたのだが*1、蓋を開けてみたら、年間史上最多勝にリーチをかけていたルメール騎手が4レースから順当に4つの白星を積み重ね、堂々の最多勝記録更新*2

メインのホープフルSも、断トツ1番人気のサートゥルナーリア以下、人気馬が軒並み好位置をキープし、最後は早めに先頭に立ったアドマイヤジャスタ&ルメール騎手と、インから馬群を絶妙に捌いたサートゥナーリア&M・デムーロ騎手の一騎打ちの末、1番人気、2番人気で順当に決着する形となり*3、有馬の失敗をホープフルで取り返す、という去年の再来を願った馬券愛好家にとっては、実に残念な結末となってしまった。

今年は今年、来年は来年。
だから、ホープフルSの勝ち馬が同条件の皐月賞で全く勝てないのと同様に、一年の傾向をストレートに反映したようなこの日の結果が来年にそのまま持ちこされるとは限らないのだけれど、今年最後の数か月を見て、日本人騎手の上位2人(戸崎騎手115勝、福永騎手103勝)の勝ち星を合計しても、ルメール騎手の勝ち星とほとんど変わらない、という状況はそうそう変わらないのかな・・・という感情を抱いてしまっているファンは多いと思われるだけに*4、まずは新年の計、「金杯」から何かが変わることを願うばかりである。

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20181223/1545630630参照。

*2:215勝、というキリの良い数字。来年以降、モレイラ騎手、M・デムーロ騎手とのつばぜり合いもより厳しくなることが予想される中で、ルメール騎手本人といえでも、この数字を塗り替えることは早々簡単なことではないだろう。今後この数字を超える騎手が出てくるのかどうか、自分には想像もつかない。

*3:ついでに言えば実績の割に人気が伴わないニシノデイジーが、今回もきっちり追い込んで馬券に絡み、1~3番人気による鉄板決着で落ち着いた。

*4:これは騎手の技量もさることながら、馬主、厩舎サイドの意向に強く影響される話なので、今の潮目はそう簡単に変わらないかな、という気はする。

落ちる〜落ちる〜よ、株価は落ちる〜

日本語的には、株価は「下がる」ものなのかもしれないが、今日に関しては「落ちる」という表現しか出てこない・・・そんな日だった。

日経平均で見れば1,010円45銭安。下落率でいうと-5.01%。
自分は元々資産の4割をこの手のリスク資産で運用している人間だから、これだけ派手に落ちれば、当然無傷で済むはずもない。

単に下がり幅、ということだけでいえば、今年の2月には1,071円84銭安、というもっとどデカい下落幅の日はあった*1

ただ、今は、平均株価が既に当時より2,500円くらい低い上に、市場のベースにある環境も相当悪化していて、その分、かなり深刻な状況にあるんじゃないか、というのが自分の見立て。

日本国内だけ見ても、来年、消費税増税を控えている、というのに、あらゆる“成長促進”策は不発に終わり、人件費コストだけがアホみたいに上昇していてまさに貧乏暇なし、になりかけている。
周囲のアジア諸国も、“出る杭”中国が頭を思い切りたたかれたことで、様々なサイクルが逆回転し始めている。そうなると、これまで日本の消費を下支えしてきたインバウンド需要にも、もはやこれまでのような勢いは期待できない。

海を渡れば、欧州では、英国がEU脱退を目前に崖っぷちに追い込まれ、代わってEUを支えるはずのフランス、ドイツも、国内の内紛に足を引っ張られて指導力を発揮するには程遠い。
中東は、サウジがトルコの領事館でやらかした余波がまだ残っている上に、原油価格暴落の追い打ちもあって、マネー供給源としてはいささか便りない状況だし、何と言っても世界の盟主・米国が、傍若無人な大統領とその取り巻きのおかげで、権威も国力も完全に失墜してしまっている状態だ、というのが痛恨事。

10年前のリーマンショック、20年前のアジア通貨危機、と繰り返されてきた歴史から、今年は何かある、と“予言”していた識者はそれなりにいたのだが、今年も残すところあと数日になったこのタイミングでとうとう来たか・・・というのが、今の率直な感想に他ならない*2

もちろん、もしかしたら、明日朝起きたら潮目が再び逆回転しているかもしれないし、来年の今ごろ(いや、もしかしたら来月の今ごろ・・・)には「あの時が買い場だった」という後悔に駆られる展開になるのかもしれないけれど、今日の強気が明日の失望に変わるのが辛い、そんな気分だけに、柄にもなく、あと数日、大納会の日までは大人しくしていようかな、と思ってしまうのである。

*1:ちょうど、前日に600円近く下げて、それでも楽観的なエントリー(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20180205/1517846671)を書いた翌日のことだったので、後追いの記事を書く余裕もないほど、その瞬間はへこんでいた・・・。

*2:これまでの「危機」が、金融・財政政策や経済政策の失敗で招来されたものであるのに対し、今回は純粋な意味での「政治」的な政策の失敗が市場にインパクトを与えている、という点で、特徴的な事象だと思う。問題は、これが一時的なものではなく、今後何年も恒常的に続くような気がするところにある。

一つの時代が終わるとき。

今年はいろいろと浮き沈みが激しい一年だったこともあり、それまでのルーティンの中でピタリと「断絶」してしまったものも結構多い。

その一つがフィギュアスケートを見る、というたしなみで、それまでなら、シーズンが始まった時点で、今年の●●選手の曲目はこうで、プログラムの構成はこうで、というのが大体頭の中に入っていたのに、今シーズンはグランプリファイナルが終わってもまだ「活字」ベースの情報収集以上のことはしていない。

自分の中では、前シーズンの江陵での歓喜と悲劇を目撃して、何となく感情がピークアウトしたところもあるし、何度も繰り返される氷上の“新陳代謝”について行くのに疲れた、というところもある。

ただ、今シーズン、紀平梨花選手が大躍進を遂げている、というニュースだけはやっぱり気になっていて、これだけは見なくては、ということで、(競馬中継以外では)久々にテレビを付けたのが今年の全日本フィギュア(女子フリー)だった。

結論から言えば、最終グループ滑走者、特に結果的に「トップ4」を占めた紀平梨花三原舞依宮原知子、坂本花織(滑走順)の4選手の演技には、凄い、の一言。

一昔前の全日本選手権の最終グループといえば、極度の緊張感から、どんな実績のある選手でもある程度のミスは付き物、という印象はあったし、それゆえ、精神力の強さを発揮してパーフェクトな演技をした選手が浮上する*1、という構図になりがちだったのだが、昨年の全日本フィギュアあたりから、「大舞台でもミスしない」というのがむしろデフォルトになった感があって*2、今年も最初に滑った紀平選手を皮切りに、上位に入った選手たち*3がほぼノーミスで滑り、合計220点を超えるスコアを次々と叩き出す*4、という極めてえげつない展開となった。そして、そんな中でも、伸びやかなスケールの大きさが飛び抜けていた坂本選手が「SP2位」の貯金との合わせ技で優勝し、続く2位には、2度のトリプルアクセスを完璧に決めて抜群の技術点を支えにフリーで堂々の1位を確保した紀平選手が入る*5、という、演技を見ていた者ならだれしもが納得する結果に・・・。

4大会連続で守り続けていた女王の座から陥落した宮原選手にしても、決して転倒等の大きな失敗があったわけではなく、流れの中で最後まできっちり演技はしていたし、昨年のスコアを上回る223.34点というハイスコアも出しているのだが、それでも、「3番手」にしかなれなかった、というところに、この1,2年の女子フィギュア界の「地殻変動」の恐ろしさがある*6

結果的に世界選手権に選ばれた顔ぶれは、昨年の五輪代表2名に紀平選手が加わっただけだし、日が変わった翌日の男子フリーで、(いつものように羽生結弦選手が欠場する中)宇野昌磨選手が安定の3連覇を成し遂げ、2位には久々に復帰したレジェンド・高橋大輔選手が入る*7、という、あまりのお約束的な結果になってしまったゆえに*8、全体としては落ち着いた印象となってしまったのだけど、それでも、女子最終グループの戦いは、ちょっと時間が経てばYou Tubeで振り返ってみたくなる気分になることは間違いないような気がして・・・。

長いサイクルの中で浮き沈みがあるのもフィギュア界の常。
これまでにも、「層が厚いな」と思った数年後に一気に選手層が薄くなってしまう、という事態に陥った*9ことがあるだけに、先のことまでは何とも言えないのだけれど、今は、今年の大会が、数年後振り返った時に「あの時が転換点だったな」と思えるような存在になることを、ただ願うのみである。

*1:トリノの選考の時の村主章枝選手や、二度の五輪前の選考会にきっちり合わせた鈴木明子選手など。

*2:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20171223/1514073783参照。

*3:負傷上がりの樋口新葉選手だけは、ちょっと気の毒な演技になってしまったが、それ以外の選手は・・・

*4:あくまで国内大会なので、基本的にスコアはインフレなのだが、それを差し引いても・・・である。

*5:去年の全日本でも感じたことだが、この選手はジャンプ以上に、ステップ、スピンを丁寧・確実にこなすので(この日も全てレベル4、高いGOE加点付き、である)、全く危なっかしさを感じない。

*6:ちなみに、個人的には、宮原選手以上に音楽にピタリと合わせて伸び伸びと演技をしていた三原選手のプログラムに魅了された。フリーでは宮原選手を上回る3位、合計でも昨年の宮原選手の優勝スコア(歴代の全日本優勝者の中でも最高のスコアだった)を上回る220.80点、というハイスコア。それでも最終順位では「4位」に留まって世界代表切符を逃してしまうのだから、もうこれは時代の悪戯、というほかない。

*7:さらに言えばその次に田中刑事選手が入る、という構図もこの3シーズン全く揺らいでいない。

*8:冷静に考えると、高橋大輔選手が現役復帰して表彰台に立った、というのはすごいことなのだけれど、現役時代の高橋選手の印象があまりに生々しく記憶の中に残っているがゆえに、不思議なくらいイレギュラーさは感じない。

*9:最近では、特にソチ五輪後のアレレ・・・?という状況が記憶に新しいところ。

29年ぶりの雨、が有馬記念にもたらした波乱。

昨年のキタサンブラックのような絶対的な主役はいない。

だが、秋の天皇賞を制したばかりのレイデオロを筆頭に、この秋絶好調のキセキ、牝馬G1タイトル持ちのモズカッチャン、凱旋門賞帰りのクリンチャーと4歳の主役級は一通り参戦し、迎え撃つ5歳陣も引退レースのサトノダイヤモンド、元ダービー馬マカヒキ宝塚記念馬・ミッキーロケットと、今年の屈辱を晴らすにはふさわしい顔ぶれ。
さらに、6歳勢もG1常連の元JC優勝馬シュヴァルグランに、上がり馬・パフォーマプロミスが顔を揃え、最後に人気投票で上位に食い込んだオジュウチョウサン武豊騎手騎乗、最内枠で話題を振りまく・・・と、多士済々で各メンバーのストーリー的にも馬券的にも近年稀に見る面白さになったのが今年の有馬記念だった。

ローテーションからしても、外国人騎手が席巻している今年後半の流れからしても、レイデオロの優勝はまず堅くて、順当ならその後にキセキ、シュヴァルグラン。キセキが連戦の疲れで飛ぶようなら、C・デムーロ騎手騎乗のパフォーマプロミスやマーフィ騎手騎乗のミッキーロケットに食い込む目が出てくるか・・・といった緩い予想で臨んだのであるが・・・。

勝ったのは唯一の3歳馬、ブラストワンピース。
過去10年、1番人気の勝率60%、という「鉄板」レースであるにもかかわらず、4番人気のイナリワンが制した29年前のグランプリレースと同様、3番人気の馬が上位人気馬を蹴散らす、という結末で「平成最後の有馬記念」は幕を閉じることになった。

鞍上はかつてオルフェーヴルでグランプリ騎手の名声をほしいままにしていた池添謙一騎手だったから、外国人騎手の連勝もここでピタッと止まった*1

以下、言い訳も兼ねて、ちょっとだけ振り返ってみる。

*1:こういうところはさすが池添騎手、と、同じ日本人としてちょっと誇らしかった。

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