微妙な空気。

華々しい宣伝で夏休み中の上映館を独占している「崖の上のポニョ」。


各種批評サイトに漂う微妙な空気を感じて、この目で確かめてやろう・・・と思いたち、自分も映画館に足を運んでみたのだが・・・

「この映画に星たくさん付けてた評論家出て来い!」

って感じである(苦笑)。


もちろん映画である以上、場面ごとの細かい設定をいちいちストーリーの中で説明する必要はないわけだし、推理小説ではないのだから、エンディングにつながっていくような伏線を随所に丁寧に張り巡らしておく必要もない。


だが、中盤から後ろの方のストーリーは、いくらなんでも雑過ぎないか。


世の中、「大御所だから許される」ことはいくらでもあるのであって、日本アニメに大きな足跡を残した宮崎駿監督だから、「あまり細かいことは言わんどこう・・・」という深謀遠慮が評論家諸兄にも働いたのかもしれないが、これが無名のクリエイターの作品だったら間違いなく酷評されているだろう、そんな印象の映画である*1


前半の筋書きは悪くないし、キャラクターの動きも、細かい背景もいろいろと芸は細かくて、アニメーションとしてのクオリティは高いと思われるだけに、もしかすると、真ん中から後ろは“大人の事情”による妥協で組み立てられたものなのかなぁ・・・*2と善解してみたくもなるのだが、もしそうだとすれば、「子供に純粋に楽しんでもらう」というコンセプトからすると、ちょっときな臭すぎる。



もちろん、ところどころパッチワーク的な“いいシーン”はあるのだが、「心を空っぽにしてみる」ことができない自分のような人間が見ても、心から楽しむことはできないんだよなぁ・・・と複雑な気持ちにもなったりするもので。


興行的には成功しているようだし、当分の間は映画館の主要スクリーンを占拠しているだろうから、微妙な空気感を味わいたい方には一応お勧めしておくことにするが、前向きな期待を裏切られても、金返せ、とは言わないようにお願いしたい。


崖の上のポニョ

崖の上のポニョ

*1:作品としての物足りなさを、一般人が容易に読み取れないような“深読み解釈”で補って高尚な作品に仕立て上げる、というのは、宣伝マンの常套手段ではあるのだが、本来中立な立場の人々までがそれに加担する必要はあるまい、とも思ったりもする。

*2:資金繰りの事情で今年の夏に無理やり間に合わせざるを得なかった、とか何とか・・・。

エヴァ新劇場版【若干ネタバレあり】

遅まきながらようやく観にいった。


公開から1ヶ月くらいは経つというのに(しかも普通なら空いている時間帯に行ったのに)、立ち見が出るほど盛況ぶり。


アニメ映画を普段見てないせいもあるのだろうが(一昔前のジブリと10年前のこれくらい)、実写と見まがうような作画の美しさには思わずため息が出る。


全体的な印象としては、テレビシリーズの“遊び”の部分を省いて、コアな部分でガンガン攻めている感じだろうか。
ところどころそれなりに丁寧な説明も入っていたし、テレビシリーズを知らなくても、十分ついていける中身だったと思う*1


頭を空っぽにして目の前の派手な映像を堪能するもよし、キャラクターのセリフの節々に潜む暗喩に深遠なる思考をめぐらせるもよし*2、作りこんであるディテールに突っ込みを入れるのもよし。


いろんな楽しみ方ができる、というのは、エンターテインメントたるための必須条件であるが、本作はその条件を十分に満たしていると思われる。


かつてのインディーズっぽさが失われてどうなるかと心配していたのも事実だが*3、エンドロールと一緒に流れる宇多田某の曲(これは明らかに無意味)を除けば、そんなに悪い方向には出てなかったなぁ・・・というのが率直な感想*4

*1:そもそも、自分の場合、昔見たことがあるといっても、誰かが録画した全20数回分を2,3日ぶっ続けで流し見した程度でほとんどストーリーは覚えていない(というか改めてみて、ほとんど覚えていなかったことに気付いた)ので、「最後どうなったか一応は知ってる」という点を除けば、初見の方と情報量に大して違いはない。

*2:もっとも「序」の段階ではまだそこまでの深みはないと思われるが。

*3:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20070901/1189015408#tb

*4:もっともコンビニの看板とか、ミサトの部屋の缶ビールのブランドだとかに、商業化の波を感じたのも事実だが(笑)。

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想定の範囲内

テレビドラマの映画版として、鳴り物入りで登場した作品がよかった試しはないし、その意味では「想定の範囲内」というべきなのだろうが、やっぱり感想としては、うーん・・・とため息を付かざるを得なかった「HERO」。


別にノンフィクション作品を見ているわけではない以上、ディテールの違いをイチイチ突っ込んでも仕方ないので、その辺は大目に見るとしても*1、ドラマの良さがほとんど消えてしまっているなぁ・・・というのが率直な感想である。


連続ドラマであれば、制作者サイドの頑張り次第で、早い回に小出しにしたエピソードを終盤のクライマックスに繋げる伏線として生かすことができるし*2、本筋と関係ない小技を織り交ぜてアクセントをつけることができる*3のだが、映画フィルムの2時間ちょっと、という枠の中では、その手の小技を使えないのが痛い(しかも必ずクライマックスシーンを最後の30分に持ってこないといけない、がゆえに、どうしても前半と後半のバランスが悪くなる)。


そのうえ、テレビシリーズで下手に個々の出演者のキャラが立ってしまっているから、本筋と何のつながりもない瑣末なエピソード(本編と違って、伏線にもアクセントにもなっていないエピソード)にムダに時間を費やすことになってしまい、余計に全体の構成が苦しくなる。


エンタテインメント性を追求しようとするがあまり、元のシリーズを魅力あるものにしていたリアリズムとのバランスを失してしまう悪弊。


最近大失敗を繰り返している「踊る大捜査線」シリーズしかり、本作しかり、見るたびに「悪循環だなぁ・・・」と思ってしまうのは筆者だけではないはずである*4


まぁ、あえてよかった点を挙げるとすれば、ブログで人気の某O弁護士のお名前をラストのクレジットで拝めた、ということくらいだろうか(笑)。


「リーガルアドバイザー」という見慣れない肩書であるが、美術系のチーフスタッフの次の順番だけに、製作スタッフの中でのステータスはかなり高い。


同じくクレジットで、「司法監修協力」として名を連ねているアンダーソン・毛利・友常法律事務所の江崎滋恒弁護士*5、「司法監修実務」の野元学二・元弁護士*6ともども、本作の出来には必ずしも満足されてはいないだろうが、それでも、“フィクション”の中の僅かなリアリズムに、かすかな希望を抱いているむきにとっては、こういった方々の今後のご活躍に期待すべきところは大きいのではないだろうか。




もちろん、フィクションの中でどんなに娯楽性を追求しても、現実に目の前に起こっている事件の面白さ、奥深さには遠く及ばないのであるが・・・(これは刑事でも民事でも同じ、分かる人にしか分からない。ある意味、法律関係の実務に情熱を注いでいる人間だけが味わえる特権のようなものなのかもしれない)。

*1:ただ、テレビ版と違って、本作には決定的にリアリティを欠くシーンが多すぎるのも事実なのだが・・・。

*2:「HERO」で言えば、久利生検事の過去だとか次席との関係だとか。

*3:これまた「HERO」で言えば、通販グッズだとか、「あるよ」のマスターだとか。

*4:ちなみに、途中までは「踊る」の第1弾と同等かちょっと上くらいの評価でいいかな・・・と思っていたのだが、最後の30分で「踊る」の第2弾レベルに堕ちた気がする。テレビとタイアップした激しい宣伝攻勢を見ていると、いずれ、観客動員数は「踊る2」に匹敵するレベルにまで伸ばしてくるのだろうが、この種の映画が“代表作”として取り上げられることが、日本映画そのものにとってプラスか、と言えばそれは大いに疑問である。

*5:http://www.andersonmoritomotsune.com/lawyer/01/prof/0132.html。46期。プロフィールを見る限り、検事出身、というわけではなかったようだ。

*6:http://www.toho-ent.co.jp/actor/show_profile.php?id=5065。弁護士から転向した異色の俳優(東宝芸能所属)。「それでもボクはやってない」では俳優兼法律監修、という二足のわらじを履かれていたようだ。

バブルへGO!

馬場康夫監督&ホイチョイ・プロダクション”という、80年代末期から90年代初頭を席捲したコンビが、時を越えて世に送り出した話題作、『バブルへGO−タイムマシンはドラム式』。


映画「バブルへGO!!~タイムマシンはドラム式」presents:バブルへGO!!~キラキラ☆ポップ!!

映画「バブルへGO!!~タイムマシンはドラム式」presents:バブルへGO!!~キラキラ☆ポップ!!


感想を一言で言えば、「シュールな笑いを満喫したい人はみるべし(笑)」ということになるだろうか。


残念ながら、映画で描かれていた時代は筆者はまだ中学生で、大学に入った時には既に「ポスト・バブル」で冬の時代を迎えていたから*1、浮かれている六本木の絵を見たところで、実感として湧き上がってくるものは少ない。


筆者に限らず、バブルの前後で生活が急変したなんて人は、特定のエリアで活動していた一部の人々を除けばそう多くはいないはずで*2、映画の中に登場してくるのは、所詮は、特殊ギョーカイ人の過去への憧憬が誇張された姿に過ぎないのではないかと思う。


また、LINDBERGやプリプリの曲がBGMで流れてくるのを聞いて、「将来は銀行でも入ってバリバリ稼いでやる」とのたまわっていた金持ち子弟たちの姿が甦り、教室の片隅で、世の“浮かれムード”に憂鬱を募らせていた自分の姿を思い出して何となく切なくなったのも事実であるが、そういう“懐かしさ”を感じたのは、ほんの一瞬のことに過ぎなかった*3


もちろん、オチが最初の数十分で予測できるような展開でも、飽きさせずに笑わせてくれるあたりは、さすがホイチョイ、といったところだったし、まるでタイムマシンで10年前から連れてきたような愛らしい広末涼子(笑)を拝むことができるのも、この映画を見に行った人だけの役得*4


17年前のメイクと今のメイクを比べると、どう見ても今のメイクの方が若く見える薬師丸ひろ子(爆)や、日立製作所の総力を挙げたバックアップぶり*5など、他にも見どころはいくつかあって、一応はお勧めできる映画になっている。


・・・・・


ところで、世の中の大きな“バブル”がはじけた後でも、分野によっては局地的なバブルが起きている。賢明な読者の皆様はもうお察しのとおり、近頃では司法試験バブルなんてものもあったのは記憶に新しい。


『バブルへGO!』のシナリオを少々拝借しつつ、ストーリーを構成するなら↓のような感じだろうか(以下、本物の『バブルへGO!』のネタバレもあるので注意)

*1:とはいっても、僅かながら“昔の名残”で、船上貸切ダンパだの女子大のキャンパスにクルマ横付けして深夜ドライブだの、といった風習は残っていたのではあるが。

*2:そもそも本当の意味での“不景気”を人々が実感するようになったのは、映画でターニングポイントとされている1990年3月よりもずっと後の話で、湾岸戦争だの、阪神大震災だのといったボディブローがじわじわ利いていった結果が、つい先日まで続いていた未曾有の大不況だったわけだから、「バブル前後」という捉え方がピンと来ない人の方が多くて当たり前だと思われる。

*3:元々、自分は“軽いノリ”ってヤツが大嫌いで、あの時代そのものに全く好感を抱いていない(苦笑)から、“懐かしさ”よりも“冷ややかな”感情の方がどうしても先に立ってしまう。

*4:しかも「MOF」ロゴの入った水着姿で美しい脚線を拝めると来たら・・・(以下自主規制)

*5:なんでそこまで肩入れするのかと思ったら、どうやら馬場監督ご自身が日立の出身らしい。ディテールを追及するのであれば、あの頃は日本一の大メーカー、今は・・・というところまで出さねばいかん(苦笑)と思うのだが、まぁその辺はさすがに難しかったか・・・。

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『それでもボクはやってない』(一部ネタバレ注意)

それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!

それでもボクはやってない―日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり!

公開されてからだいぶ日が経っていたこともあって、ほとんどネタバレ状態で見に行ったのだが、それでも十分楽しめるところはあったし、評判どおり、いろいろと考えさせられるところの多い映画であったのは間違いない。


※以下、一部ネタバレもあるので、まだご覧になっていない方は注意されたし。

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最高傑作に出会えた日

年の暮れ、久しぶりに映画館ヘ足を運ぶ。


いろんな方の感想を聞いて、
是非とも観たいと思っていた『ALWAYS 三丁目の夕日』。
メジャー上映終了間際に、何とか見に行くことができた。


感想。
やはり、世間の評判は伊達ではない。
滅多なことでは高評価を出さないような辛口の人々でも
星5つ付けていた作品だけに、相当期待していたのだが、
その期待を超えるだけの中身はあったと思う。


「昭和33年の東京を舞台にした作品」という
取り上げられ方がされることが多いだけに、
この作品を、単なる「団塊世代の郷愁を誘う人情話」
と受け止めるムキも多いようだが、なんの、
派手さこそないものの、素人的先読みをいい意味で裏切る巧妙な脚本で、
観ていて飽きることがない。


他にも良いところを挙げるとキリがないのだが、
まず、とにかく役者がいい。


吉岡秀隆堤真一は、いまさら取り上げるまでもないのだが*1
薬師丸ひろ子小雪あたりも抜群に冴えているし、
加えて、堀北真希や、特別出演の三浦友和あたりの好演も光る*2
とにかく、脇役も含めて、それぞれの役者に“無駄な”演技が全くない、
というのは、近年の映画(洋画、邦画問わず)では特筆すべきことだと思う。


キャラクター設定がわかりやすい分、
演じやすかった部分はあるのかもしれないが、
その“分かりやすい設定”が生きるのは、個々の役者の腕あってこそ。
良くぞここまで揃えたものだ。


あと、VFXも相当凝っている。
パンフレットに詳細なメイキングの記録が残されているのだが、
「建設途中の東京タワー」、
集団就職列車が到着する上野駅の雑踏、
そして都電が走る市街地の光景、と
どこまでがCGで、どこまでが本物のセット(or ロケ)か分からなくなるくらい、
良くできている*3


いかに技術が発達しているとはいえ、
あれだけのものを作るためには、それ相応の製作資金を要しているはず。


だが、きちんとお金をかけて、
いい脚本を書いて、巧い役者を揃えれば、
邦画でもこれだけのものができるのだ、
ということを証明できたのは非常に大きいことだと思う。


これまで数百本映画を観てきたが、
邦画の中では、自分にとっての「最高傑作」であり*4
外国映画とあわせても、
ライフ・イズ・ビューティフル』に匹敵する出来といっても過言ではない。


この映画を、レンタルビデオやDVDではなく、
映画館で見られたのは、自分にとっては至上の幸福であった。


ちなみに、自分が一番泣けたのは、
「空っぽの指輪」のシーンである。
小雪もいい役者になったものだ・・・*5

蛇足

三丁目の夕日』を堪能した後に、
レイトショーで『Mr.&Mrs.Smith』を観たが、
“蛇足”になってしまったことは、言うまでもない。


ブラピとAJは、スクリーンの中にいるだけで楽しめる役者だし、
ストーリー的にも、結構面白い中身ではあるのだが、
『三丁目』と比べると、所詮は“良く出来たコンビニ弁当”に過ぎない。


もっとも、アンジェリーナ・ジョリーが、
いまだにあれだけの美しさを誇っていることを確認できたのは、
同世代の人間としては、嬉しい限りではあるが。
(逆に、ブラピの方が若干微妙な領域に差し掛かっているのかも・・・)

*1:もっとも吉岡秀隆の場合、役作りが巧いというよりは、吉岡のキャラクターに合わせて脚本を書く(あるいはあの役に吉岡を配した)側が巧いというべきなのかもしれないが・・・(実のところ、「ちょっと性格悪くなった純くん」の域は脱していなかった・・・。

*2:どのみち、各映画賞を総なめすることになるのだろうが、一番賞にふさわしいのは助演女優としての薬師丸ひろ子だと思う。堀北真希にもいい意味で裏切られた。

*3:看板など、細かいところにまできめ細かく気を遣っているのが良く分かる。新宿の設定なのに、背景にイトーヨーカドーが映っている某映画とは、そのあたりが決定的に違う・・・。

*4:これまではずっと岩井俊二監督の『Love Letter』が一押しだったが。

*5:ラスト・サムライ』の時は、寒々しいくらい違和感があったのだが・・・。

原作と実写版の間

先日、「NANA」を映画館まで見に行った。
公開からだいぶ日が経っているはずなのだが、
相変わらず大した人気であった。


個人的には「ネタ作り」(笑)のための鑑賞で、
ほとんど中身には期待していなかったのだが、
どうして、思いっきり泣きのツボにはまってしまったようで、
不覚にも、瞬間的にウルウル状態になってしまった。


役者の演技自体は、評価できるレベルではないのだが*1
劇中に出てくる「トラネス」の曲が最高に良い。
そして、それをこの映画最大の泣きのツボにかぶせてくるとは・・・*2


完璧な盛り上がりシーンが一つあると、
下手な演技でも、かえって青春映画*3のような
爽やかさを醸し出しているような気がするから、不思議なものである。


それで、周りの人にここ何日か「NANAいいよ〜」と薦めてきたのだが、
今日、初めて原作を読んで、少し後悔した。


なぜなら、原作の方が、断然よかったからだ・・・(泣)。


自分が映画版を薦めた方の中には、原作の大ファンも何人か混じっていたので、
下手をすると恨まれるかもしれない・・・、と戦々恐々である。


確かに、一部でいわれているように、
原作の場面設定だとか、セリフだとかは比較的忠実に再現されている*4


しかし、テンポだとか、登場人物のキャラだとかに関して言えば、
映画版は明らかに原作とは違う。


ストーリーはドロドロでも、アップテンポなコミカルさでカバーできる原作に対し、
映画版は、今の設定のまま進むと、「火曜サスペンス」になってしまうのではないか、
と危惧したくなるほど違う。


おそらく食い違いの最大の原因は、
ナナ(中島美嘉)と蓮(松田龍平)の配役にある。


中島美嘉はドラマでもCMでもそうだが、無表情演技が多いから、
何かを「背負った」役になると、いっそう悲壮感が増す。
相方の「ハチ」(宮崎あおい)が、
憎ったらしいほどの「かわい娘」ぶりを発揮しているために、なおさら。


個人的には、映画版の「ハチ」のキャラクターに、
かなり「引く」ところがあって*5
その分、クールかつ尖ったナナの方に感情移入しやすかったというのはあるのだが、
原作の世界観とはだいぶ違う。


さらに問題なのは、蓮の鈍重さ・・・。
プロデューサーとしては、「ニヒルさ」でリンクさせたつもりなのだろうが、
何かが違う・・・。


映画版には映画版で、青春の郷愁を誘うような独自の良さがあるのは認めるが、
原作を読み始めてしまった今、明らかに予定されている「続編」を見ろ、
と言われると、ちょっとキツイかも知れない*6


コミックの原作が気にいっているのなら、実写版は見るものじゃない、
と昔から言われているし、自分も言い続けてきたことだが*7
今回もそれにたがわなかったというのが結論。


むしろ新しい教訓として、「映画が気に入ったのならコミックの原作は読むな」、
というのも残しておいた方が良いかもしれない。

*1:宮崎あおい成宮寛貴は悪くなかったのだが、それ以外の役者さんが・・・

*2:先日も書いたとおり、自分は上京シーンに弱い。さらにそれが真っ白な銀世界と来たら・・・。

*3:学生時代にはミニシアターでよく見たものだ。

*4:もっとも、上に書いた最大の山場シーンに関しては、映画向けの徹底的な演出が施されている。この点に関しては、映画版の勝利。

*5:もちろん、それだけのアンチ感情を与えてくれる宮崎あおいの演技が、この映画の中では別格だったということでもある。

*6:できれば、続きは実写じゃなくて、アニメーションで見たい。

*7:古くは一連の柴門ふみ作品(「東京ラブストーリー」「あすなろ白書」)、原秀則の「冬物語」「部屋においでよ」など、最近では「タッチ」もそうだし、たぶん「ハチミツとクローバー」がそのリストに入る日も近い・・・(涙)

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