デジタルアライアンス社の反撃なるか?

昨日のエントリーで書いたように、
「読売新聞対デジタルアライアンス」事件において、
不法行為の成立が認められた意義は大きい。


馬名の使用をめぐるダビスタギャロップレーサー両事件の話は既に述べたが、
スケジュール管理ソフト(PIMソフト)をめぐる事件では、

著作権侵害行為や不正競争行為に該当しない行為については、当該行為が、ことさら相手方に損害を与えることを目的として行われたなどというような特段の事情が存在しない限り

不法行為を構成することもない、とされているし(東京地判平成15年1月28日)、
著作権侵害が否定されたにもかかわらず、
不法行為を構成するとされた数少ない事例である
翼システム事件(東京地判平成13年5月25日中間判決)は、
競合するシステム系企業が、数万件の自動車型データの入ったデータベースを
丸々コピーした、という相当悪質な事例であり、
今回のケースとは一線を画すべきものだといえる。


デジタルアライアンス社のウェブサイト(http://www.d-a.co.jp/)を見ていると、
本件訴訟に関するコメント等も掲載されているのだが、
その中身と言えば、ネットベンチャーとしての純粋な思いが伝わってくるもので、
http://linetopics.d-a.co.jp/
少なくとも一種の不正競業事例として不法行為の成立を認めてきた
これまでの事例とはやはり違うものが流れているのを感じるのである。


ただ、不法行為が成立する、という判断自体は、
今後自分の会社にも有利に働く可能性があるので良いとしても、
そうでなくても高慢な新聞社が、調子に乗って騒ぎ立てるようになると困る。


当の読売新聞に限らず、多くの新聞社は、
これから同種のサービスに対する圧力を強めていくだろうし、
今でも、某大手経済紙などは、「記事のクリッピング著作権侵害だ!」と脅しつつ、
自社のクリッピングサービスを売り込もうとするあくどい商法をやっていたりする。


確かに、ネットで情報を集める時代になって、
各新聞社が部数の減少という悩みを抱えながら、
存続に向けて躍起になっているのは分かるが、
生き残るための知恵は、情報の質の向上に向けるべきであって、
セコイもぐら叩きにいそしむのは本来の姿ではないと思う。


そうでなくとも、企業は必要以上の部数を「お付き合い」でとっていたりするし、
それ以上に新聞社の皆さまには、いつも「美味しい」ネタを提供しているのだから。


ここはやはり、デジタルアライアンス社に、
最高裁で最後の勝負を挑んでもらうことを期待したい。
そして、できれば、知財高裁判決のすっきりしない部分に
最高裁がきっちりと決着を付けてくれることを望みたい。

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