W杯3位決定戦、ドイツ対ポルトガル。
上川徹主審の見事なレフェリングでつつがなく終了。
ポルトガルお得意のシミュレーション攻勢にもジャッジを乱すことなく、
終始落ち着いた試合裁きを見せていたのはさすが、というほかない*1。
これだけの大きな大会で、しかも大会終幕に向けての大事な試合で、
日本人が笛を吹いている、ということがいかにスゴイことか、
もっとメディアが取り上げてくれれば、
この国のサッカーに対する理解もより深まるのに・・・と
心の中で悪態をつきつつ、この“幸福な結末”に胸をなでおろす。
ポルトガルにとっては気の毒な試合だったというほかない。
中二日の強行日程、
しかも監督自ら「モチベーションがない」と言い切る“消化試合”で
相手は戦う名目が十分にある地元ドイツ。
大会後のステップアップに向けて依然血気盛んな若手は多いし、
しかもゴール前には背番号12の屈辱に闘志の炎を燃やすオリバー・カーン。
バラックが欠場したとはいえ、肝心のフィーゴがお休みでは、
闘う前から結果は予想できた・・・。
パス回しは相変わらず美しいが、
ゴール前になると相手のファイルを誘うしか能がなくなる
ポルトガル攻撃陣。
数少ない枠内シュートも、カーンの腕一本で弾き出される*2。
C・ロナウドのFKは、
フランス戦同様恐ろしい弾道を描いてゴールに直進してきたが、
どこかの国のGKとは違って、
体勢を崩しつつも、
俺はバレーボールのレシーバーじゃねぇ!と言わんばかりの
お手本どおりのパンチングでクリア。
こんなキーパーをベンチで眠らせていたドイツの恐ろしさやいかに。
一方のドイツ攻撃陣は、シュバインシュタイガーの一人舞台。
ほとんど同じ角度から右足一閃、同じような低い弾道を描いたボールが
ことごとくスコアに跳ね返る。
一点目は、無回転ボールにキーパーが目測を誤った感じ。
二点目は、相手選手の足に当たっていなければ枠の外一直線。
だが、三点目は、世界中のどんなGKでも取れないであろう、最高のゴール。
自分に対する交代選手がスタンバイしている前で決めるんだから
大した21歳である。
もっとも、ポルトガルも終盤にヌーノ・ゴメス、フィーゴと
次々と攻撃系の選手を投入して、最後まで試合を捨てなかったのは立派。
フィーゴだけじゃなく、
ヌーノ・ゴメスもたぶん今大会が見納めに近いはずだが、
最後の最後でゴール決めて、久しぶりに見た投げキッス(笑)。
勝った側も、負けた側も、
「3位決定戦」という試合の持つ意味を理解しつつも、
試合を壊さず、かといって退屈な試合に終始させることもなく、
満員の観衆とテレビ桟敷の見物人に納得感のある結末を見せてくれた、
という点において、欧州の伝統国どうしの戦いの魅力が詰まった試合、
ということができたように思う。
さて、残すところあと1試合。
今大会は、テレビの見られる環境下で(笑)、
しかも多くの試合が深夜早朝帯に組まれていた、ということもあって*3、
適度にタイムシフトしつつ、
存分に贅沢なコンテンツを堪能することができたのであるが、
これも明日で終わるかと思うと、なかなか寂しいものがある・・・。