「中堅国内紳士服チェーン、フタタの財務アドバイザーである三井住友銀行は18日午前、フタタに経営統合を申し入れているAOKIホールディングスとコナカの提案のうち、コナカの提案を支持する内容の意見書をまとめ、フタタに提出した。フタタはかねて「三井住友銀の意見は尊重する」としており、同日午後にフタタが開く臨時取締役会での決定に向けコナカが優位な立場に立った格好だ。」(日経新聞2006年8月18日付け朝刊・第1面)
王子製紙対北越製紙・日本製紙に続き、
国内において、事業会社間の企業買収をめぐる争いが
本格化したことを予感させた「フタタ事件」だったが、
最後は何とも日本的な決着になった。
三井住友銀行の「意見書」では、
株主価値、将来のシナジー、従業員問題、
及び、従来からの提携関係の存在(及びコナカのノウハウ流出の危険)
などが重視された、とのことだが、
何のことはない、
三井住友銀行はフタタのメインバンクであるとともに、
コナカのメインバンクでもあるのであって*1、
元々のフタタとコナカの提携の背後に、
メインバンクの意向の存在が見え隠れする以上、
結論は最初から見えていた。
翌日の朝刊によれば、
AOKIホールディングスは経営統合案を撤回したようで、
これで本件の攻防は収束するとのことである*2。
だが、幕引きの形としては、
極めて不透明なものとなったことは、
否定できないだろう。
「AOKIホールディングスによるTOB(株式公開買い付け)の提案を無視した不透明な決着だ。コナカはTOBで対抗すべきだった。TOB合戦になれば、証券市場での売買に準ずる競争原理が働き一般株主の利益も守る形で、買収価格が決まったはずだ。」(日研新聞2006年8月19日付け朝刊・第3面)
として、日本の市場構造と、
三井住友銀行がアドバイザーとなったことの不透明さを
いつもながらに厳しく批判している、というのも、
当然予想されることとはいえ、興味深い。
日本の企業再編をめぐる文化は、
まだまだ成熟には程遠い、といったところだろうか・・・。