ようやく長年の低迷期を脱出するかと思われていた競馬界だが、
例の“ディープインパクト薬物投与事件”が
水を差してしまった感が強い。
事件自体の真相はいまだ見えてこないし、
このまま“藪の中”で終えることになるのかもしれないが、
個人的にはそれ以上に、
最近のディープインパクトをめぐる
厩舎サイドとオーナーサイドの動きのチグハグさが
気になるところ*1。
サンデー系飽和状態の今の馬産地で、
種牡馬として成功するとは思えないディープに
あれだけの高値がついてしまうあたりにも、
今の競馬界がおかれている事情の深刻さをうかがわせる*2。
さて、そんな中での菊花賞。
ソングオブウインド&武幸四郎のレコード勝ち。
武豊騎手&アドマイヤメインが見せた怒涛の逃げ脚は、
前年の横山典&アドマイヤジャパンから何かを学んだか(笑)、
と思わせるような華麗さであったが*3、
結局、後方待機*4の弟を利する結果になったのは、
何とも美しい家族愛の賜物というべきか・・・(爆)。
それまで実績がなかった馬が勝つ、というのは
このレースでは決して珍しいことではないので、
そこでは驚かないのだが、
ダービーで枕を並べて討ち死にした母父・サンデーサイレンスの産駒が
この大舞台を制したというのはある意味驚きであった。
ほとんど同じ血統*5のアペリティフは今回も着外に沈んでいるから、
騒いだのは二代父のトニービンの血あたりだったのか(笑)、
と思ったりもするのであるが、
いずれにせよ、これまでの例からいって、
菊花賞を勝った馬は間違いなく“強い”*6のであって、
単に“展開の利”で片付けることはしないほうが良いように思う。
ドリームパスポート&横山典は、
去年の武豊騎手の役回りを演じるはずが、
弟に刺される皮肉*7
メイショウサムソンは、
今日のような展開でいつもの先行策では正直辛いし、
かといって思い切って下げるだけの余裕は鞍上にはなかったはず。
それでも4着に粘った、というのは、
評価されてしかるべきだと思う。
ちなみに、京都の最終レースでは
もう一つの明日なき逃走劇が(笑)。
馬場入場と同時に小牧太騎手を振り切って逃げ出したプリュネル(牝4)。
父・ジェニュイン、母・サタデーナイト*8。
スタート地点までターフの4分の3くらい全力疾走したところで止められ、
当然に競争除外かと思ったらそのまま出馬(オイオイ)。
それでもきっちりと2着に食い込んできたのだから恐ろしいものである。
以上、破滅的なまでの2頭の逃走劇に湧いたこの日の京都。
ペース配分だの何だの、といったケチケチしたことを言わず、
本能のまま走るのが一番いいのかもしれない。
サラブレッドも人間も・・・。