全国レベルのニュースにはなっていないようだが、熊本知事選の有力候補者に、蒲島郁夫東大教授の名前が挙がっており、ご本人も既に出馬の意思表示をしているそうである。
例えば、↓など参照。
http://www.asahi.com/politics/update/0111/SEB200801110001.html
現職に就かれたのが97年、ということもあって、自分の場合、直接講義等を拝聴することもなかったのだが、そこからの10年間のインパクトは相当なものだったと聞く。
「選挙」そのものを研究素材にされていたこともあって、ここ数年はメディア等にも随分と登場していた。
舛添要一氏の例をひくまでもなく、政治家を目指す政治学者は決して珍しくないのだが、蒲島教授の場合、研究対象と「政治家」という職業があまりに近い、ということもあって、今後世間の耳目をひくことになろう。
一見すると、研究が興じて自分もプレイヤーとして参戦したかのように見えなくもないが、上記記事によると、
「蒲島氏は「高校時代から政治家になりたい思いがあった。(地元農協の職員から東大教授になった)私の経歴から、夢を持つことの重要性を訴えたい」と述べた」*1
ということだから、これがホントだとすれば、鶏が先か卵が先かは良く分からない。
高名な民・商法学者が、商事弁護士に転身したり、刑法・刑訴法の学者が刑事弁護の現場に転向したりしても、華麗なる手腕を発揮できるとはとても思えない(苦笑)*2のと同じように、いかに有権者動向の分析に長けていても、それで選挙に勝てるか、さらには尊敬される為政者になれるか、ということになれば、決して容易い道ではないといわざるを得ないだろう。
“餅屋”としての強さを発揮するのか、それとも紺屋のなんたら・・・になってしまうのかは、数ヵ月後のお楽しみだが、かつては「政治家」という職業への主要な人材供給源だった「大学教授」というポジションに、再び脚光があたることになるのかどうか、間もなく行われる大阪知事選と並んで、一つの試金石ともいえる選挙になるのは間違いなさそうである。