北京五輪を賭けた大阪国際女子マラソンで、昨年の渋井陽子選手の悲劇を上回る大失速をしてしまった福士加代子選手。
小雪がちらつくような厳しいコンディションで、スタート直後からポンと飛び出した時点で、驚異的な記録を叩き出すか大凡走するか・・・という結末を予感させたが、結果的には後者になった。
何度も転倒しながら、それでもテレビの放映時間内に競技場に還ってきたあたりに彼女の“運の強さ”を見ることができるのは確かだが、いくら何でも長距離練習をほとんどやらずに初マラソンに挑むのは無謀なわけで*1、今後のトラックでの競技活動に支障が出なければ良いのだが・・・と心配になる。
福士選手が主役になり損なった(テレビ的にはある意味「主役」なのかもしれないが)ことで、本来は日本人最高位の森本友選手、にスポットが当たっても不思議ではないところであるが、これまた「2時間25分台」の結果だけに、次に控える名古屋国際女子マラソン組(高橋尚子、坂本直子等々、実績のある実力者たちが最後の一枠を狙って虎視眈々と待ち構えている)にプレッシャーを与えるにはいかにも弱い。
というわけで、やはり今日の主役は、優勝したマーラ・ヤマウチ選手だろう。
オックスフォードでLSEの学位まで取った英国外務省職員(現在は競技に専念するための休職中)、という経歴もさることながら、本格的に競技に専念し始めた2006年(当時32歳)以降、10キロ、ハーフ、フルマラソン、と次々と自己新記録を塗り替え、今大会も34歳にして堂々の自己新で優勝*2。
日本大使館勤務時代に出会って結婚したご主人が、アスリートとしての活動を全面的にサポートするなど、北京五輪に賭ける思いはひとしおだったと思われるだけに、これですんなりと母国代表に決まってくれれば・・・と思わずにはいられない*3。
そして、ここからの連鎖で、そうそう易々と「世代交代」を許さない“over30パワー”が名古屋で炸裂してくれれば、言うことはないのであるが・・・*4。