「法科大学院の授業や修了認定などが適正かを審査する認証評価機関の一つ、日弁連法務研究財団は26日、愛知大法科大学院を「不適合」とする評価結果を公表した。同大学院は2006年の初の司法試験で合格率が72%に達し、全体の48%を上回ったが、「司法試験対策を主眼とした科目が多数あるなどカリキュラム基準を満たしていない」と判断した。」(日本経済新聞2007年3月27日付朝刊・第42面)
日弁連法務研究財団から出されている評価結果については、http://www.jlf.or.jp/work/dai3sha/aichi_report2007.pdfを参照されたい。
評価の項目はそれなりに細かく作られているし、評価する側の人間も一応法律のプロなのだろうから、一つの側面からのモノサシとしては、やはり尊重されねばならないのだろうが、法科大学院を評価する客観的な「指標」が新司法試験の「結果」しかない現状において、上記のような結果がどれだけの説得力を持つかは疑わしい。
それに、大学側の体制が“立派”だろうが、そうでなかろうが、結局勉強するのは学生自身なわけで、学習意欲を妨げるようなシステムがとられていない限り、「不適合」などという過激な評価をする必要はないのではないかな・・・、と思う者も少なからずいるだろう。
世間が「結果」をどう捉えるかはともかく、法科大学院を選ぶ側の人間としては、上記のような「結果」よりも各評価項目における「評価内容」を、“自分にあった法科大学院選び”に使う、といったような読み方をする方が得策ではないだろうか。
なお、愛知大学の加藤克佳法務研究科長は、
「司法試験に偏った指導だと判断する基準が分からない」
として、異議申立てを行う方針のようだが、日弁連法務研究財団のサイトを見ると、過去に行われた異議申し立ての例も公表されていて、なかなか興味深い*1。
これまで認証の対象となった法科大学院の中には、まだ東大、京大といった“(世間的にいう)一流どころ”の学校がほとんど含まれていないだけに、今後、これらの学校に対して、どのような評価がなされるのか、といった点についても、注目していく必要があるように思う。
*1:早稲田大学法科大学院における異議申立て制度への評価が争われたものであるが、結論としてはロー側の申し立てが退けられている。http://www.jlf.or.jp/work/dai3sha/igi-waseda2006latter.pdf