どこまでを権利にするか、という難題。

依然からくすぶっていた動きがいよいよ本格化するようだ。

特許庁は音やにおい、動きなど新しいタイプの商標を導入する検討に入る。インターネットの普及などで企業が自社の製品やサービスを他社と区別する方法が多様化し、新しい権利の保護が必要になっているためだ。」(日本経済新聞2008年6月24日付夕刊・第1面)

記事によれば、7月にも研究会を発足させ、その2年後に商標法改正案の提出を目指している、ということであり、仮に制度として導入されるようなことになれば、実務的に大きな出てくるのは間違いない。


最近では、企業向けのアンケート調査なども行われていたりしていて、“特許庁は本気なのかなぁ・・・”と朧ろげながらに思っていたら、やはり本気だったということなのだろう。


もちろん、頑張って探せば、保護の必要性のあるこの種の“商標”は、どの会社にも内側にたくさん潜んでいるだろうし、それが保護を受けられる、というのは喜ぶべきことなのかもしれないが・・・。



権利として認めるかどうかの審査にかかる当局のコスト、何が登録されるかわからないから・・・という理由で登録に向けてあくせくする(潜在的)権利者のコスト、そして、検索サイトでは俄かに判別できない(と思われる)「権利」に脅かされるユーザーのコスト、そんなもろもろのコストを考えると、果たしてこれらの“新しい商標”をあえて「権利」として認める必要があるのか、疑問なしとはしない。


従来の商標保護の延長線上にある「小売商標」ですら、昨年以来、どの会社も非常に対応に苦労していることを考えると、この新しい商標にどれだけの苦労を強いられるのか、ある意味ぞっとする・・・。



サウンドロゴなんかであれば、著作権による保護も可能だろうし、著作権等で保護できないものであっても、不競法によって、悪性の強い競業者のみを排除することは可能だ。


個人的には、これらの既存の法制度で十分なんじゃないかなぁ・・・と思うのであるが、とりあえずは議論の行方に注目したい。

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