こんなニュースが出てくると、ちょっと同情したくもなるもので。
「NHKのニュース番組で自分が撮影した風力発電の風車の写真二枚が無断使用されたとして、札幌市の写真家、縄田頼信さん(50)が、NHKを著作権法違反容疑で北海道警に告訴したことが24日、分かった。」(日本経済新聞2008年6月25日付朝刊・第42面)
当の写真家さんが主張している内容については、直接ご本人のサイトを参照されれば良いと思う*1。
ニュースを見たときは、使った番組が「ニュース番組」とあったから*2、
「写真、映画、放送その他の方法によって時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴って利用することができる」(著作権法第41条)
の規定でクリアできる話ではないか、と思っていたのだが、写真家の主張によれば様々な改変も加えられているようで(そうなると同一性保持権等まで侵害している場合には、上記のような権利制限規定の存在をもってしても侵害の責めを免れない)、そうなると穏やかではない。
NHKは広報部のコメントとして、
「取材先の了解を得たので問題ないと判断したが、著作権に対する認識が十分でなかった。今後も誠実に対応していきたい。編集段階で手を加えたことは一切ない」
と述べており、どちらの言い分(NHKの言い分は記事には掲載されていない)が正しいのかは、後々の事態の推移を見守る必要があるだろうが*3、4月に放送されたニュースでの著作物の使用に対し、翌月には告訴状を提出、という展開は、問題の解決の仕方としてちょっとどうかな、と思わなくもない。
ちなみに、この記事の紙面上での扱いはこんな感じ。
「札幌の写真家 NHKを告訴 無断使用の疑い」
「記事盗用の記者 諭旨免職処分に NHK」
「「危機意識を」全職員に手紙 NHK会長」(インサイダー取引問題)
日経新聞朝刊第二社会面、いずれも小さな見出しのベタ記事だが、それが縦に3段並ぶ。
この紙面割りを考えた人は、なかなかセンスが良いと思った次第(苦笑)。
疑惑を抱かれたり、批判を浴びたりするような状況を生み出していること自体が問題だ、という声も当然あるだろうが、何でもかんでも一緒こたにして非難されたのではたまらん・・・というのが、日本放送協会の中の人の率直な思いなんじゃなかろうか。