3年目の試練

3回目の新司法試験の結果が発表されているのだが・・・
http://www.moj.go.jp/SHIKEN/SHINSHIHOU/h20kekka01-4.pdf


受験者数6,261人、合格者数2,065人。合格率は33.0%。


合格者ゼロの法科大学院が3校、“一流”と言われる法科大学院でも受験者の半分が姿を消す有様。


かつての司法試験に比べればまだまだ・・・、という声はあるのだろうが、ロー入学時点で母集団がある程度絞り込まれ、その上2年、3年のカリキュラムのフィルターを通り抜けた中でのこの数字*1


制度が始まってから5年も経たないうちに、何かが変質し始めたという印象を受ける*2


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今年もなぜか、富山の新聞社のサイトにいち早く掲載された合格者氏名。
http://www.kitanippon.co.jp/pub/hensyu/meibo/080911/


去年までは、ローを目指した友人・知人達の名前があるのを当たり前のように見つけることができた。だが今年はどうだろう・・・。



「試験の難易度」と「実務法曹としての資質」との間に何らかの相関関係がある、というのはただの都市伝説に過ぎないと自分は思っているが*3、その一方で、「試験の難易度」と「それによって選抜された人々のプライド」との間に明確な相関関係があるのは間違いない*4


言葉の響きはあまり良くないのかもしれないが、プロフェッショナルとして仕事を遂行する上では、どこだけ“プライド”をもって仕事に臨めるか、ということが極めて重要になってくるのもまた事実なのであり、それは“職業人としての誇り”や“モラル”に通ずるものでもある*5


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想定されていた最低ラインの合格者数すら下回った今回の結果を見る限り、「志ある多くの人々を法曹としてのスタートラインに立たせる」という当初の理念は大きく後退したと言わざるを得ないだろう。


だが、それは同時に、「3年目の試練」を潜り抜けた2,065人に、これまでの2回の合格者とは違う“プライド”を芽生えさせる契機になりうるものでもある。


皮肉な結末ではあるが、あながち悪いことだとも言い切れない、それが現実ではなかろうか。


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どんな試験でも笑う者の後ろには泣く者がいる。


そして、順当風が吹いていたここ2年に比べて、今年の新司法試験の合格発表の瞬間の泣き笑いがより残酷なコントラストを描いていたであろうことは、想像に難くない。


だからこそ・・・・


勝者よ胸に誇りを。そして、敗者も胸を張れ。


挑む気概すらなく、安穏たる日々をむさぼっている自分が放つ言葉なんて、何の励ましにも慰めにもならないだろうけれど、今はそう、声を大にして言いたい。

*1:しかも、実受験者数6,261人の背後には、いわゆる“受け控え”の潜在的受験生が1,500人以上も控えている・・・。

*2:もちろん、机上の計算でもある程度は最初から予想されていたことではあるのだが、いざそうなってみると・・・というのが多くの関係者の方々の実感なのではなかろうか。

*3:それはとりもなおさず、これまでの経験の中で反証事例を散々見せ付けられてきたからに他ならない。

*4:ここ数年の司法制度改革を批判する業界人の「最近の若者は楽しやがって・・・」的な論調にも、そういった傾向を見て取ることはできる(笑)。

*5:もちろん実力が伴わなければ、それも大して意味もないものになってしまうのであるが・・・。

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