ここ数年年末の恒例となっている「企業法務で活躍した弁護士ランキング」の2008年版の結果が日本経済新聞紙上で公表された。
大手事務所の“組織票”問題など、ランキングの信憑性に疑問を唱える声も多いのだが、それでも何となく定着しているのが、格付け好きといわれる*1この国らしいと思う。
で、今年の結果だが、蓋を開けてみると、これまで西村あさひ、森濱田松本、長島大野常松といった大手事務所が順番に首位をキープしてきたランキングに大きな変動が現れている。
2008年に活躍した弁護士ランキング
<企業法務部門>
1.葉玉匡美氏 TMI総合
2.小舘浩樹氏 アンダーソン・毛利・友常
3.中川秀宣氏 TMI総合
4.石綿学氏 森・濱田松本
5.藤縄憲一氏 長島・大野・常松
6.中村直人氏 中村・角田・松本
6.藤原総一郎氏 森・濱田松本
8.岩倉正和氏 西村あさひ
9.菊地伸氏 森・濱田松本
10.久保利英明氏 日比谷パーク
弁護士票(43票)、企業票(23票)で堂々の二冠に輝いた葉玉弁護士(43)が、昨年の3位からさらに順位を伸ばして圧勝。
のみならず、「企業票0」の中川秀宣弁護士(41)も3位に食い込んだことで、TMIが“四大事務所”の牙城だったベスト3に大きく穴を開ける結果となった。
ちなみに、2位に入ったのは06年の「弁護士が選ぶランキング」で4位に入っていた(07年は総合ベスト10外)アンダーソン毛利の小舘弁護士(36)だから、MHM、西村、長島大野といった常連組(トップ3)はベスト3に一人も入れなかったことになる*2。
アンダーソン毛利もTMIも、三つの巨大事務所と比較すると、“追いかけていくポジション”にある事務所だけに、
「事務所のプレゼンス向上のために、結託して組織票を投じただけだろう」
と揶揄するのは簡単なのだが、投票システム自体はどの事務所にとっても同じなわけで(むしろ大手の方に有利なわけで)、そこできちんと票を揃えるところに、上記の事務所の今の勢いを感じる・・・、と言えなくもない。
まぁ、所詮は移り気なランキングだけに、一年後には全く違う「勢力図」になっている可能性もあるのだが・・・*3。
まずは、来年の西村あさひ、長島大野の巻き返しに期待してみよう(笑)。