想定の範囲内の波乱。

ここ数年の箱根駅伝を見ていて思うこと。


以前に比べて傑出した選手が減ってきているように思える上に、上位を狙う学校が増えて、いい選手が分散するようになっているから*1、もはや「ちぎって独走V」とか「2強ガチンコ対決」*2みたいな展開はちょっと考えにくい。


ゆえに、襷が渡されるたびに目まぐるしく展開が変わるし、一人の選手のちょっとしたブレーキで、有力校が一気に順位を落としたりする。


“戦国駅伝”と言われだした最初の頃は、スリリングな展開に息をのんだりしたものだが、今は、1区、2区で名門校が大幅に出遅れても、山登りで5人抜き、6人抜き(抜かれ)する選手が出て、それまでの80キロくらいの積み重ねが最後の5分の1の区間で一気にひっくり返ってしまっても、そんなに驚かなくなっている。


今年の箱根、強風にも2年目のジンクスにも負けずに区間新を更新した東洋大・柏原選手の力走が称賛に値するものであることは間違いない。


だが、タイムはともかく、「大逆転」という結果に関しては、10000mの持ちタイムも含めた柏原選手の実績と、襷を貰った時点で前の方を走っていた選手たちのそれとを比べれば容易に予想はできたわけで*3、それを「神」だ何だのと連呼する日テレのアナウンサーの実況を聞いていると、できの悪いバラエティ番組を見た時のような不快感すら抱いてしまいそうになる・・・。



明日の復路は、昨年以上に2位とのタイム差を広げた上に(昨年は22秒、今年は3分半以上)、10000mの持ちタイムが29分前半の選手を何人も揃えられる東洋大が圧倒的有利な状況にあるのは間違いない*4


ゆえに、アナウンサーの煽り実況も、少し静かになってくれることを期待しているのだが、果たしてどうなんだろう*5


日テレが煽り実況で視聴率を稼いでいるからこそ、自分も家の中にいながら「往路のスタートから復路のゴールまで完全生実況で見られる」というメリットを味わえている、ということは重々承知しているつもりだが、できれば実況・解説のテイストを*6、ほんの少しだけでも玄人好みにしてほしい・・・と思ってしまうのはないものねだりだろうか?

*1:かつて名門校で襷をつないだ箱根の名ランナーが、実業団を経て新興校の指導者になり、あちこちに行くようになったため、か。

*2:かつての早稲田対YGUのような・・・。

*3:トラックではほぼ同格の力を持っているはずの早稲田の選手が、早々に潰されてしまったのは意外だったが。

*4:往路の上位校で追いかける余力があるのは日体大くらいで、10000m28分台の大砲を温存していた明大、駒澤大あたりは、タイム差を考えると相当苦しい状況である。

*5:元々復路は早目に上位争いに決着が付くことが多いので、往路に比べれば静かになる素地はあるのだが、こういう時に限って、得てしてシード争いが激戦になったり、優勝争いと関係ないところで棄権者が出たりしがちだし、そもそも優勝争いが盛り上がらないゆえに過剰な“演出”を試みるアナウンサーも多い・・・。

*6:実況もさることながら、瀬古の解説もひどい。

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