地位が人を創る、の見本。

昨年の箱根駅伝で、青山学院大学の快走劇を見て、「深緑の革命」と驚嘆したのはわずか1年前のこと*1

5区・神野選手の力走や、憎たらしいくらいの復路の安定感など、インパクトに残るエピソードを残したのは確かだが、当時はまだ「伏兵が引き起こしたサプライズ」という雰囲気が強かった。

それが、今年は3大駅伝全てで主役に挙げられ、出雲駅伝では優勝、全日本大学駅伝でも2位とその名に恥じない結果を残す。
さらに、今日の箱根では1区・久保田選手から一色選手、秋山選手、田村選手、そして山登り5区の神野選手まで、トップの座を全く譲らない、という堂々たる結果で2年連続の往路優勝を果たした。

元々、昨年の時点で、2年生、3年生が多いチームだ、ということは言われていたし、各選手の持ちタイムを見ても、10000m28分台の選手をこれだけずらっと並べられているチームは他にないから*2、順当な結果であることは間違いないのだが、これまで、駒澤、東洋、早稲田、といった伝統校の中で争われていた駅伝の世界に、突如として現れたこの深緑のチームが、威風堂々と先頭を風切って走っているのを見ると、未だに不思議な気持ちになる。

おそらく、スカウティングやトレーニングの成果もあって、ここ数年は、「優勝候補」に挙げられても不思議ではないくらいのポテンシャルを備えるチームになっていたのだろう*3

それが、昨年の箱根駅伝完全優勝で一つの頂点を極め、唯一欠けていた「実績」を手に入れたことで、一段上のステージに進んだ・・・

気温が上がり、決して走りやすいコンディションとは言えない中でも、去年以上に危なげない走りをしている青学の選手と、後方から追い上げきれずにもがいているこれまでの伝統校の選手たちを見比べていると、「地位が人を創る」という言葉の重みと、「一度生まれたブレイクスルーをひっくり返すのは難しいものだな」ということを、しみじみと感じてしまうのである(復路が終わった時に、また違う感想を抱くことになるのかもしれないけれど・・・)。

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20150103/1420387058

*2:往路は全員28分台、復路のラインナップを見ても、記録がない6区の1年生(小野田選手)を除いて3人が28分台だし、さらに補欠登録されている選手に28分30秒台の選手が3人もいる(おそらくメンバー変更でどこかに突っ込んでくるはず)。

*3:青山学院大学は、2010年に8位に入って以降、優勝する前年の2014年まで。堅実に10位以内をキープする戦いを続けていて、“新興勢力”としては珍しい安定感を見せていた。

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