予想どおり、箱根駅伝の復路は、東洋大学の圧勝という結果に終わった。
5区の柏原選手の激走で、5分以上の差を付けてスタートした上に、今日に入っても、6区以降、走る選手が皆、区間賞の激走*1。
前日のエントリーのブクマでもコメントしていただいたとおり、駅伝実況を見るには欠かせないデータ放送の画面を出しながら、区間ごとの各走者の順位を追いかけていたのだが、優勝争いには早々と決着がついてしまうし、シード権争いも途中まで粘っていた学連選抜チームが8区以降で一気に失速してしまい、順天堂大が安全圏に入った時点で勝負あり。
2日続けて中継局にとっては気の毒な展開となってしまったが、力のあるチームがしっかりと地力を見せて勝つ、というのもスポーツの醍醐味なわけで、過剰な“波乱”が毎回のように意地悪く演出されていたこれまでに比べると、実に清々しい大会だったのではないか、と思う*2。
ちなみに、今年の東洋大の勝因として、実況席では、
「昨年の21秒差の敗北を糧にして、一人ひとりが差を埋めようと頑張った」
というフレーズが何度も繰り返されていた*3。
確かに、昨年、早大にほんの僅かな差で逃げ切りを許したあのレースは、僅差だったゆえに当の選手たちには悔いが残ったのだろうし、一年間チームのモチベーションを保っていく上では、格好の材料だったことだろう。
口で言うほど簡単なことではないとはいえ、元々力のある選手が集まっているチームだから、共通した目標を見出し、緊張感を切らさずに全員が戦うことができたなら、これまでにないような力を発揮することも不可能ではない。
そして、それをシナリオ通りに“やり切った”のが今年の東洋大であり、その結果が、10時間51分台という驚異的な大会新記録だった、ということなのだと思う。
もっとも、正直言えば、人生の中で、こんなに美しく分かりやすい形で、「チーム一丸となって目標を達成する」なんて機会はそうそうない(競技をやめて普通の職業人生活を送る人はもちろんのこと、競技者としてさらに人生を続ける人にとっても・・・)ように思えるだけに、この先、今回走った10人の選手やスタッフたちが“燃え尽き”症候群に陥ってしまうんじゃないか? なんて、余計なことを思わず心配してしまうのだが・・・*4。
大学に残る選手たち&これからもっと先の人生を生きる選手たちが、来年以降、そんな懸念を吹き飛ばしてくれるような活躍を見せてくれることを、心より願うのみである。
*1:毎年区間賞で駆け抜けていた9区の田中選手が唯一区間賞を逃し、6位と順位的には落ち込んだものの、駒沢大のスーパーエース・窪田選手に2分差を付けられた以外は、30秒以内の差でカバーしており、ほとんどダメ―ジにはならなかった。
*2:ここ数年苦しんでいた、順天堂大や山梨学院大、といった20世紀の強豪チームが久々にいいレースを見せて堂々のシード復活を果たした、というのも、長年見てきたファンには嬉しい展開だった。
*3:Number誌などには、他にも全日本大学駅伝で、優勝した駒沢大に絶望的な差を付けられながらも、主将の柏原選手が必死の追い込みで追いすがった姿を見て、下級生が奮起した、などというエピソードも紹介されているが。
*4:別に駅伝に限らず、学生スポーツの成功者達が、概して陥りがちな落とし穴なんじゃないか・・・、と思ったり。