昨年の夏に第一報を聞いた時から、
そんなにうまくいくんかいな?
という思いを抱いていた食品飲料大手同士の企業統合が、案の定破談となった。
「国内食品最大手のキリンホールディングスと同2位のサントリーホールディングスは8日、経営統合交渉を終了すると発表した。同日午前、両社トップによる会談を開いて交渉の中止を決めた。統合比率や新会社におけるサントリーの創業者一族の権利などについて溝が埋まらず、基本方針が一致しないまま交渉を続けては既存事業への影響が大きいと判断した。」(日本経済新聞2010年2月8日付夕刊)
この結末も、ぽしゃった理由も、以前当ブログでぼんやりと予測したとおり(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20090713/1247498985)で、予想を豪快に外すことで定評のあるこのブログにしては、珍しいヒットだと久々に浮かれているところである(苦笑)。
もっとも、記事では「統合比率」や「サントリー創業家の取扱い」をめぐる溝が原因として前面に押し出されているものの*1、実際にはそれ以上に「根本的な社風の違い」の方が、合併の妨げとしては大きかったような気がしてならない*2。
元々いち早くこのニュースを1面で取り上げ、その後も「新時代の企業統合」の象徴的事例として、事あるごとに紙面で両社の合併に言及していた日経紙は、無念の思いを隠し切れず、この記事に「グローバル戦略に痛手」などという小見出しも付けている。
だが、以前も述べたとおり、競争を勝ち抜くための方策としては、「規模の拡大」以外にもいろいろな手は考えられるし、特に、嗜好性の強い食品・飲料分野においていたずらに規模を追い求めようとすれば、元々の会社のウリを消してしまうことにもなりかねないから*3、ここであえて合併に突っ走ることなく、破談にして再度戦略を練り直す、というのは、そんなに悪いことではないと思う。
この統合断念報道を受けて、市場には、早速キリン株の売りに走るものも現れているようだが、破談後の行方を見届けてからでも遅くないんじゃないか、というのが、自分の率直な感想である。