媒体としての魅力。

エイプリル・フールの日付の記事にこんなことを書いても説得力はないかもしれないが(笑)、5月号を読んで「Business Law Journal」という媒体の面白さに改めて惚れなおした。


BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2010年 05月号 [雑誌]

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2010年 05月号 [雑誌]


だって、いきなり巻頭言で、

「欧米の議論の表層のみを紹介し、当局のガイドラインの表現をそのまま借用するのが「多数説」である場合、自分の頭で考えてその内実を分析したら「少数説」となる。」(白石忠志「多数説と少数説」5頁)

と白石教授の毒舌炸裂ですから・・・(笑)。

「そもそも、現状論か提言論かを問わず、どの母集団で多数・少数なのか、という点にも気をつける必要がある。」
「例えば、審判制度の廃止の是非、という提言論では、「経済法研究者有志」による廃止反対の声明がなされ、驚くべき数の研究者が名を連ねている。私は参加していないから、「圧倒的少数説」である。ところが、企業法務担当者や弁護士のブログ等では、廃止を当然とする意見を目にすることはあっても、廃止反対の意見はあまり見かけない。もちろん例外はあろうが、研究者の世界との違いは歴然としている。」(同上)

などというくだりもある*1


元々、インフォーマルな場(学内の講義や小規模な講演など)で、かなり辛辣な(だが的を射た鋭い)発言をされる方でも、いざ、伝統ある雑誌上にそれを活字として載せる、という段になると、収まりのいいところに落ち着いた内容になってしまうことが多い。


白石先生などは、比較的“言うべきことは言う”スタンスをどこでも貫いているように見受けられるのだが*2、それでも、以前拝見したNBLの巻頭言に比べると、今回の方が数段歯切れが良いのではないかと思う。


他にも、野村晋右弁護士のインタビュー記事では、冒頭から“独立の経緯”という微妙なところが語られているし*3、「差し込まれないための交渉力トレーニング」のように、法務サイドの本音がストレートにさらけ出されているが故に、読み応えのあるものになっている記事もあったりする。


他の法律雑誌に比べて、歴史が浅かったり、購読者層がユニークだったりすることが、変なしがらみにとらわれることなく、思い切ったコメントや記事を載せやすい環境につながっているのだろうと思うのだが、個人的には、近い将来、この雑誌が歴史を積み重ねて、よりメジャーな存在になっていったとしても、今の“媒体としての魅力”は保ったままであってほしいなぁ・・・と願っているところである*4

*1:この辺は、様々なソースから情報を集めておられる白石先生らしい冷静な分析である。というか、自分は白石先生以外の独禁法研究者(+一部の行政法研究者)が、なぜあそこまで公取委にべったりなのか、不思議でならない(数年前に行われた某大学のCOEシンポジウムで、公取委の担当者とパネリストの有名教授陣(+日弁連系の弁護士)が、フロアにいた先生方まで援軍に付けて、審判制度廃止を提唱した企業側弁護士のパネリストをよってたかって攻撃していた、という異様な光景は今でも鮮明に覚えている)。

*2:法学教室」の連載も時々スパイスが効いていて面白かった。

*3:個人的にはこの記事、「どんな場面でもリスクをとって仕事をしないと価値ある仕事にはなりません。」(12頁)のくだりが、「(企業側の)担当者」としては、ジーンとくる。

*4:この雑誌の場合、今月号の特集記事のように、「実務を知っている人」と「実務から若干遠いところにいる人」とで、記事のクオリティが明確に分かれてしまう、という難点があり、この辺は実務に精通した書き手の確保と、それに合わせたコンセプトの練り込みをより強化していく必要があるんじゃないか、と思うところだが・・・。

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