“幻の一点”が持つ意味。

W杯、決勝トーナメント1回戦、「欧州名門対決」として注目を集めたドイツ対イングランド戦は、思いのほか点差の離れた4対1というスコアで、ドイツがイングランドを下す結果となった。


だが、自分はこの試合が、結果で示された数字ほどワンサイドゲームだったとは思わない。


確かに、序盤の時間帯などは、ドイツの速い創造性あふれたパスワークの前にイングランドDF陣はなすすべなし、といった感じだったし*1、GKの動きも実に鈍重で、立て続けに2点取られたのもさもありなん・・・といった印象ではあった。


しかし、少なくとも前半、特に2点を取られてからのイングランドの反撃は、“個”の力を前面に出した力強いもので、前半が終わった段階では、まだ“互角”といっても全く差し支えなかっただろう。


個人的には、1点を返した直後の前半38分、ランパードが遠目から打ったシュートの得点がきちんと認められていれば、その後に全く違う展開が待ち構えていただろうし、少なくとも、後半一点を取りに行くあまり、前がかりになり過ぎてカウンターで一挙に2失点を食らうような事態にはならなかったと信じている*2


その場であのような判定になった以上、その後何度リプレイ映像を見たところで結論が変わることはないだろうけど*3、「幻の一点」がもたらしたものの大きさを考えると、どうしても、たら、れば、の話をしたくなってしまうわけで・・・


まさか審判も、66年の決勝のエピソードを思い出して、イングランドに貸しを返させたわけではないのだろうけど、どうにもこうにも後味の悪い結末だなぁ・・・と内心思っているところである。

*1:どういう陣形を敷いていたのかは分からないが、ラインがバラバラで個々の選手のスピードもなく、ミュラーエジルの動きをほとんど捕捉できなかったうえに、彼らから放たれるクローゼ、ポドルスキへの決定的なパスに対してほぼ無抵抗な状況だった。

*2:もちろん、自陣ゴール手前から2タッチくらいであっという間にイングランド陣ゴールにたどり着き、しかもその絶好機を決して逃さないドイツ選手たち(特にミュラーエジル)のまばゆいばかりの才能には感服せざるを得ないのだけれども。

*3:リプレイ映像を見る限り、ゴールバーを叩いたボールは一度完全にゴールの中でバウンドしていた。

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