2010年、夏。高校野球。

興南高校が沖縄勢悲願の「夏」制覇(&松坂大輔横浜高校以来の春夏連覇)を果たして幕を閉じた今年の高校野球


さすがに、ずっと張り付いてみているわけにもいかなかったのだが、今年は例年に比べてチャンネルをNHKに合わせる時間が長かったような気がする。


というのも、今年の大会には、前評判の高かった学校、あるいは、初戦で強い勝ち方をした学校がベスト16、ベスト8と勝ち上がって、もっと強い学校に当たって負ける、という、“見る者の期待を裏切らない順当さ”があったから。


“伏兵”と言われるような学校が勝ち上がって栄冠をさらっていく、というのも、決して悪いことではないと思うのだが、期待の優勝候補が早々と敗退し、一方で組み合わせに恵まれて目立たない勝ち方で上まで来た学校が、ベスト4だの決勝だのに残ってきてしまうような大会は、やっぱりちょっと興ざめ、という印象になってしまう。


それだけに、興南東海大相模という東西の大横綱が決勝まで残り、中川投手が初戦から快投を見せた成田や、出てくれば看板だけで様になる“名門”報徳学園がベスト4まで残った今大会は、面白い大会になる要素を十分に備えていた、といえるだろう*1



で、ありきたりな感想になるが、録画していた決勝を見ながら改めて感じたのは、やっぱり興南の強さ。


勝戦、4〜6回の集中打で13点を奪った興南打線の凄さはあちこちで絶賛されているが、今大会の一二三投手の不安定さ*2や、東海大相模内野陣の雑な守備*3を考えると、これくらい点を取ることは想定の範囲内だったと思う*4


むしろ、凄いのは、これまでどんなにディフェンスでしくじっても、それを上回る豪快さで試合をひっくり返してきた東海大相模打線を、島袋投手がほぼ完璧に抑え込んだこと。


バッテリーが投球の組み立てを変えたとかなんとか、いろいろ言われているが、それまで5試合、ほぼフルイニング投げてきた高校生が作戦どおりに投げられること自体、称賛に値する。


準決勝の報徳学園戦であっという間に5点差を付けられても、味方の反撃をじっくりと待つかのような悠然としたピッチングで、3回以降相手にまともにチャンスを作らせなかった(しかも味方が逆転した後の終盤8回、9回で5奪三振を奪った)投球を見た時は、さすが超高校級、と思ったものだが、この決勝戦での島袋投手のピッチングは、彼が“超高校級”レベルすら遥かに凌駕する能力の持ち主であることを示したものだったと言えるだろう。


有力高同士の対決でも、打線に火が付けばあっという間に1イニングに4〜5点入ってしまうことが稀ではなくなった最近の高校野球で、3イニング残して試合を事実上“殺して”しまったエースの存在と、それを盛りたてたチームのソツのなさ。


点差が離れた大味な試合の中でも、十分に鑑賞に耐えうる試合になったのは、その強さがあまりに際立っていたから、なのだろう。


こんなチームを次に目撃できるのは、いつになるか分からないけれど、今は、視聴者を幸福な気持ちにさせてくれた、今年の夏に感謝している。

*1:しかも、ベスト8には、普段はなかなか上まで行けない東北勢(聖光学院)、北信越勢(新潟明訓)もちゃんと残っていて、地域バランスも良かったと思う。

*2:2回戦で1安打完封、という実績は一応残したものの、「ボールの行方はボールに聞いてくれ」的な制球力の酷さはなかなか改善されなかったようだ(立ち上がり、珍しくいいところにボールが決まっていた決勝戦で、甘いところにボールが揃い過ぎて打たれたのは皮肉としかいいようがないが・・・)。ドラフト上位指名を狙うプロ球団もあるのかもしれないが、打者として取るならともかく、投手として指名するのであれば相当な覚悟がいるだろうと思う。

*3:時折美技を見せる半面、イージーなミスも目立っていた。決勝戦でもプロならエラーが記録されるであろうプレーは2つ、3つ普通にあった(高校野球だと内野安打で済むが・・・)。

*4:4安打の慶田城選手を始めとする各バッターのシュアなバッティングや、ひとたびランナーが出れば、たちどころに三塁まで進めてしまう攻撃のソツのなさは、決勝戦とは思えないくらい存分に発揮されていたが。