再び風向きは変わるのか?〜「まねきTV」事件最高裁弁論へ

昨年1月の「ロクラク」事件判決や、先般の「引用」をめぐる判決など、知財高裁が次々と繰り出す判決が、これまで権利者側によりがちだった「著作権」をめぐる権利者・ユーザー間の力関係のバランスを改める方向に向かっているのではないか・・・?

というのが、ここのところ業界で浸透しつつある見方だった。

だが、ここに来て、再び風向きが変わりそうな気配である。

「ネット経由でテレビ番組を海外などに転送するサービス「まねきTV」に対し、NHKと在京民放5社が著作権侵害を理由に差し止めを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は26日までに、弁論期日を12月14日に指定した。」(日本経済新聞2010年10月27日付朝刊・第42面)

「まねきTV」事件といえば、あちこちで訴訟事件に発展していた“ロケーションフリーサービス”の中でも、いち早くサービス提供事業者側が勝訴を勝ち取っていた事例であり、他の事件では(少なくとも地裁段階では)勝っていた放送局が、仮処分段階から合わせて実に4連敗中、というレアなケースだったのだが、最高裁で弁論が開かれる、ということは、

「テレビ局側逆転勝訴の可能性が出てきた」(同上)

ことを意味するわけで、もしこのまま逆転判決が言い渡されることになると、業界に与える影響は極めて大きいと思われる。


知財高裁で判決が出た時にコメントしたように*1、この事件では放送局側も本訴に入ってからかなり巻き返しを見せていて、少なくとも仮処分段階のような“ワンサイド・ゲーム”と言えるような状況ではなくなっていたから、法律判断でひっくり返っても決して不思議ではないのだが、それにしてもこの段階で・・・というのは、ちょっと嫌らしい。


弁論期日が12月、ということは、恐らく判決は年明け以降になるのだろうけど、そこで一体どんな判断が示されるのか。

ロクラク事件からちょうど2年経った頃に真逆の判決が出そうだ、というのが何とも皮肉なことではあるのだけれど、どう転んでも、一つのターニングポイントになる判決になることは間違いないので、ちょっとわくわくしながら、判決の日を待つことにしたい。

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