日弁連法務研究財団のHPで公表された、「2011年法科大学院全国統一適性試験」の志願者数の数字が、大変悲しいものになっている(http://www.jlf.or.jp/jlsat/pdf/20110520.pdf)。
第1回:5946名
第2回:7383名
2003年からずっと“二大適性試験”の一方を担ってきた大学入試センター(というか、日弁連の方は添え物で、適性試験と言えば、専らこっちだったはず。)が撤退したことに伴い、今年から日弁連法務研究財団などが実施する試験を2回開催し(両方受験可)、どちらか良い方を使えるというルールになった(らしい)。
で、志願者数がどうなったかと言えば、過去最低だった昨年の数字(DNC:8650名、JLF:7820名)を更に下回るワースト記録。
先週ご紹介した「予備試験」の受験者ですら6477人、志願者ベースでは9000人近くになっていたことを考えると、もはや危機的な数字だというべきだろう。
志願者数が多い試験、競争率が高い試験が、必ずしも“レベルの高い”試験だとは限らない。
旧司法試験だって、“バブル”が訪れるまでは、ほんの一部の特殊な人々が、内輪で競う試験だった。
だが、つい7年前まで4万人近くいた志願者が、あっという間に5分の1以下に減ってしまうような事態はやはり尋常ではないし、「新規参入者」の減少が、その資格に関連する業界の活気を削ぎ、世の人々の関心を失わせる、というのは、得てして良くある話だ。
そして何より、法科大学院、という制度が、“法律実務家の裾野を広げる”ことを一つの目的として始められたものであることを考えると、上記のような現象が生じてしまう、ということは、制度目的との関係では、それ自体「危機」を意味しているというほかない。
「大学院で学ぶことそれ自体の魅力」を十分に伝えられないまま、その後の「法曹」という“ステータス”に拠りかかって学生にアピールすることしかしてこなかった多くの法科大学院*1と、「法科大学院で学ぶことにどんな意味があるか」ということをほとんど考えずに来た実務側の人々*2。
両者の無関心と危機感の欠如が、現在まさにある危機を引き起こしているのではないか、と自分は思う。
もちろん、それと同時に、匙を投げるにはまだ早いし、これから双方でできることは必ずあるはずだと思ってもいるのだけれど・・・。
法曹業界への新規参入者を呼び込む起死回生の起爆剤が、これから受験者数を倍々ゲームで増やしていく(かもしれない)「予備試験」だけなのだとしたら、あまりに寂しい。