週末の間に、東北で派手にパフォーマンスをして物議をかもしたと思ったら、あっという間に辞任表明に追い込まれてしまった松本龍復興担当相。
当選7回、結構なベテランの割に、これまで全国的にスポットライトの当たる世界で活躍した、という話はあまり聞かない地味な議員。
そんな人が、いきなりテレビカメラに追いかけられることになってしまったゆえに、思わずボール蹴ったり、べらんめえ調のセリフが飛び出したり・・・ということになってしまったのか。
まぁ、知事相手に説教垂れるのが大人げない態度なのは間違いないし、それ以上に、この程度の批判を受けたくらいで、僅か就任9日目で辞任、というのは実にお粗末なことだと思う。
ただ、気になるのは、一連の松本大臣の発言の中の次のような発言まで、メディアの批判対象になっていた、ということだ。
「あれが欲しいこれが欲しいはだめだぞ、知恵を出せということだ。知恵を出したところは助けるけど、出さないやつは助けない。それぐらいの気持ちを持って」
言い方の良しあし、というのはともかく、この発言の内容自体の一体どこがいけないのか。
批判する方にも説明責任はあるだろう。
一被災者に対するセリフだとしたら、「そんなご無体な・・・」という批判が出てくるのも分かる。
だが、本来、行政主体として自ら責任を持って施策を進めていくのが「県」という自治体の役割なのだから、その長である(岩手)県知事に対して、上記のようなセリフを言ったとしても、何も不思議なことはない。
「政府に甘えるところは甘えていい。こっちも突き放すところは突き放す。そのくらいの覚悟でやっていこう」
なんて、フレーズと合わせて聞けば、上のセリフもむしろこの大臣の人情味を感じさせるエピソードになるし、単に“何でもかんでもばらまき”を公言するような大臣に比べれば、よっぽど信頼感を持てると思うのだけど、それでもメディアはこの発言をやり玉に挙げた・・・*1。
既に被災地の一部の自治体では、“被災者づら”して、当事者意識が欠如したまま、何でもかんでも「国がやってくれないから云々」と責任回避的行動に走ったり、大手企業に何でもかんでも負担を負わせたりしようとする不条理がまかり通っている、という話も聞くところ。
「被害を受けたんだからかわいそう」
という単純かつミーハーな発想だけで考えていたら、本当の意味での地域の「復興」なんて到底ままならないし、かえって被災地に巨大な利権のモンスターを誕生させるだけになってしまう。
同じ報道をするにしても、メディアがそういうところまできちんと自覚した上でやらないと、いかんのじゃないかなぁ・・・と思う次第である。