何で今さら・・・と言いたくなる瞬間。

正午をもって、めでたく予定通り地上デジタル放送に移行し、アナログ58年の歴史に幕を閉じた24日、日曜日(東北3県を除く)。

だが、総務省テレビ受信者支援センターデジサポ」には、放送終了後から午後6時まで、大量の問い合わせが相次いだ、ということが報じられている。

川崎市にあるデジサポのコールセンター。24日正午を過ぎると「アナログ放送終了と(画面に)映っているが、どういうことか」「画面が映らない」といった電話が次々にかかり、オペレーターが説明に追われた。「地デジ対応のテレビを買ったが、チャンネル設定の仕方が分からない。」という人も。23日も約5万8千件の相談があったが、24日はこれを大きく上回った(注:約9万8000件)。」

敢えて説明するまでもないが、アナログ放送終了、地デジ化、という話は、もう何年も前から大々的なキャンペーンで周知広告されている。

地デジ大使だの、鹿だのが一日一回は画面に登場し、最近ではアナログを付けていると大きなテロップが画面上に表示されていたとも聞く*1。キャンペーン開始早々に、某人気アイドルグループの某メンバーのご乱行で出鼻をくじかれた、なんてゴシップニュースもあったと記憶しているが、一体いつの話だったか、思い出すのも難しい。

そんな中、

(普段テレビを見る人が)「アナログでの放送終了をこの日まで知らなかった」

なんてことが、果たしてあるのだろうか。
自分はちょっと信じがたい。

おそらく、退屈な日曜の午後、暇を持て余した人々が、アナログ放送終了のニュースを見て、「(いろんな事情があって新しいテレビを買えない)鬱憤をオペレーターにぶつけてやろう」とか、「(日頃のストレス解消のため)かわいそうな人のふりしてオペレーターを困らせてやろう」とか、「とにかく誰かと話したい」(涙)とかいった様々な思惑で電話をかけただけで、賢明な人々が住まうこの国に、「ガチで知らなかった」なんて人は決していない、と信じたいところであるが・・・。


ちなみに、万が一、ガチで知らなかった人がいたとしても、何ら同情の余地はないと自分は思う。
消費者の「情報格差」なんて話を持ち出すのが好きな人はいるが、この件に関しては、格差もへったくれもなく、むしろ、「知らなかった消費者」の方が、最低限の情報すら入手できない生活防衛能力欠如者として糾弾されても不思議ではない。


そもそも、テレビなんて、元々は生活必需品でも何でもない、単なる娯楽品だ*2
情報を取ろうと思うのであれば、新聞、ラジオ、インターネットその他いろいろなメディアが存在している時代で、加えてワンセグ対応の携帯電話だって世の中にはたくさん出ている。

にもかかわらず、これだけ大々的に莫大なコストをかけて、「地デジキャンペーン」を行う必要があったのかどうか。
そして、国の省庁がコールセンターまで設けて、懇切丁寧に対応する必要がどれだけあったのか。

結果的にたくさん問い合わせがあったんだから、必要だったんだろう、っていう総括になるのかもしれないが、基本的な思想として、本当にそれで良かったのかどうか、考え直してみる必要はあるのではないか。


安易な“自己責任論”は、自分も好きではない。

だが、何でもかんでも他人に情報を与えてもらえる、ということに慣らされた人々ばかりの世の中になってしまうと、それはそれでまずいだろう。

決して小さくない約10万件というこの日の入電数を報じつつも、「大きな混乱はなかった」と総括しているこの日の新聞記事のトーンを見る限り、まだまだこの国は落ち着いているのかな、と思うのであるが・・・。

*1:自分はもう2年以上も前にテレビを買い替えたので、何ら不快感を感じることなく移行できたが。

*2:自分も社会人になって2年近くはテレビのない生活だった(その後も買ったテレビは専らゲーム専用機だったから、放送自体はほとんど見てなかった)。

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