順当な結末の中に垣間見たもの。

近年稀に見る好勝負だった、今年の日本シリーズ

アウェーでドラゴンズが2連勝を飾った時は、このまま落合監督が有終の美を飾るのではないか、と誰もが確信したはずだし、名古屋に戻って展開一転、ホークスが3連勝で王手をかけたときは、第6戦でのあっけない結末を予想した人の方が多かっただろう。

そして、第6戦、ドラゴンズが再びアウェーで強みを見せて逆王手をかけたとき、これでドラゴンズが7戦目を取れば、“落合マジック”として永遠に語り継がれることになるのだろうなぁ・・・と思っていたのが、24時間前の自分だった。


だが、最後は、何とも順調過ぎる結末。

ホークス自慢の打線が、力の落ちる「3番手」の先発・中継ぎ陣を攻略して着々と得点を積み重ねる一方で、ホークス2枚看板の1枚、杉内投手を最後まで打ち崩せなかったドラゴンズ打線は、その後の継投策にも翻弄されるばかりで、得点の気配すら感じさせてくれなかった。

それでも、9回、井端選手が執念のピッチャー返しで出塁し、さらにそのおまけで、打たれる気配のなかったファルケンボーグ投手を降板させたところでは、

「ここから奇跡が始まる・・・!」

という微かな期待が生まれたのだが、交替でマウンドに森福投手が上がったにもかかわらず、このタイプのピッチャーを最も苦手とする森野選手をそのまま打席に立たせ、あえなく凡退。さらに続くブランコ選手があっけなくライトフライに倒れた時点で、もうほとんど希望の灯は消えていた。

それでも、秋山監督が最後に情を賭けて、馬原投手を使ってくるようなことがあれば、和田、平田の連続アーチ、なんてドラマが生まれたのかもしれないが、そこは冷徹に判断を誤ることなく摂津投手を起用した時点で、ジ・エンド。

8年ぶりの優勝、と聞いて、(タイガースファンにとっては悪夢の)あの「2003年日本シリーズ」以来だったのか・・・と今さらながら気付いたり*1、よりによって監督の次に胴上げされてしまったオーナーの空気読まなさに少々がっかりしたりはしたものの、冷静に両チームの戦力を見比べたら当然にこうなるだろう・・・という結末だっただけに、意外感とかモヤモヤ感とは無縁だった気がする*2


落合監督がどう動こうが、チェン投手と吉見投手以外に、ソフトバンクの超強力打線に対抗できるピッチャーがいなかった以上、チェン投手のローテーションを繰り上げて、勝負を賭けた第5戦にドラゴンズが負けた時点で、事実上、このシリーズの決着はついていたんじゃないかと自分は思う。

第6戦の和田投手の状態などを見たら、第5戦を谷間のピッチャーでつないででも、最後の2戦に総力を結集した方が良い結果につながったんじゃないか、と思えなくはないが、さすがの落合監督でも、地元のファンに対してむざむざと敗れるところは見せたくはなかったのかもしれない。いずれにしても、この賭けに負けたのは致命的だった。

もちろん、そんな中でも、“あたかも計算づく”かのようなコメントを残し続け、第7戦が始まる時点で、「もしかしたら・・・」という気持ちを見る側に持たせた、というのは、落合監督ならではの執念だったのかもしれないけれど・・・。


なお、今日の今季最後の試合をもって、落合監督の「ドラゴンズ監督」という役割には一つのピリオドが打たれることになったわけだが、これだけの名将が、このまま何年か第一線から退くというのではあまりにもったいない。

新生ベイスターズでも何でも、この方の力に頼った方が良いのでは・・・?と思えるところは多いだけに、是非、何かうまい形で表舞台に早く戻って来られるように、関係者のご尽力に期待したいところである。

*1:もし、あの年、日本シリーズの開幕権をセ・リーグ側が持っていたとしたら、おそらく真逆の結末になっただろう、と今でも自分は信じている。今年とは正反対の、ホームチームが順当に勝ち続けた日本シリーズだっただけに・・・。

*2:ドラゴンズ以外のセ・リーグのチームが仮にこの場に出場していたとしたら、おそらく福岡に帰って試合をすることすらなかっただろう。

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