昨年から強い、強い、と言われて久しかったハープスターが、桜花賞で順当にまず1つ目のタイトルを獲得した。
単騎で逃げたフクノドリームが3歳牝馬にしてはかなり早いラップを刻んだことで、前に行った馬の脚が直線残り2ハロンで軒並み止まる、という展開となり、最後方待機で直線に賭けた川田将雅騎手の戦術がドンピシャでハマった、という幸運もあったが*1、ディープインパクト×母父ファルブラヴ、母系はベガに代表されるアンティックヴァリュー系、というマイルではちょっと短い血統だけに、ここはこんなもので良いのだろう。
2歳女王・レッドリヴェールとの差はクビ差で、最後まで競り合ったように見えたが、早めに前に出て完全に勝ちに行った名手・戸崎圭太騎手のほぼ完ぺきな騎乗を、「大外からの安全運転」で凌駕したのだから、力の差は明白。
そもそもチューリップ賞を勝って、そのまま桜花賞も制する、というのはかなりレアなパターンで、同じコース条件であるにもかかわらず、名馬の系譜に名を連ねるスイープトウショウやアドマイヤキッス、そしてウォッカですら本番では取りこぼしている。ここ数年は(故障した馬も多いが)4年連続で3着以内にすら入れない状況で、唯一の連勝馬があのブエナビスタだから、ハープスターの勝利がどれだけ価値のあるものか、ということが、これだけ見ても良く分かる。
今日残したタイムも、アパパネに並ぶ1分33秒3のレースレコード。残した上がりは、次元が違う32秒9という猛烈な数字。
これだけいつもいつも、32秒台、33秒台の脚を使って差し切る、というレースを続けていると、かつてのサンデーサイレンスの子供たちみたいに、いつか故障するんじゃないか・・・と冷や冷やしてしまうのだが、次走以降は、距離が延びる、ということもあるので、エンジンの違いで4コーナー回ったところでは先頭に立てるような余裕のあるレースを見せてくれるだろう*2。
そして、久々に現れた極めて強烈なスターホースだけに、夏まで順調に乗り切ったところで、「3歳牝馬での凱旋門賞挑戦」というミッションを堂々と遂行してくれることも、また願ってやまない。
何と言っても、競馬が一番輝いていた頃にスターとしての名をほしいままにした「ベガ」の希少な母系の血をひく一頭だけに、再び輝きを取り戻しつつある今年の競馬界を、年末に明るい話題で満たしてくれる、と自分は信じている。