順当さの中の一抹の不安。

まだまだ先の話だと思っていたブラジルW杯が、あっという間に目前に迫り、ついにお約束の日本代表選手23人の発表、という時を迎えることになった。

一夜明けると、どこの新聞紙上にも“サプライズ大久保!”という見出しが飛び交っており、

「『日本代表になれ』との遺書を残して逝った父の一周忌に満願成就」(日本経済新聞2014年5月13日付け朝刊・第35面)

という、日本人好みの出来過ぎたストーリーに多くの紙幅が割かれているのだが、その一点と、MFの枠で、細貝萌選手ではなく青山敏弘選手が選出された*1、ということを除けば、実に順当過ぎるメンバー、というほかない。

そもそもサッカーの世界の「代表チーム」というのは、どこかの球技の“サムライジャパン”とは違い、常に継続性、世代間の連動性をもって構築されるべきもので、前の大会が終わってからの4年間の間に築き上げてきたものが、「W杯だから」ということで、ガラッと変わるのは本来おかしい。

なので、W杯への出場を積み重ね、我らが代表チームが成熟への道を辿れば辿るほど、いわゆる「サプライズ」が少なくなっていくのは当然のことだし、それは4年前にも感じたこと*2である。

特に、昨年行われたコンフェデや秋の欧州遠征で、それなりに手ごたえが残る試合をやってきた、ということを考えれば、いくら去年から今年にかけてブレイクした選手がいたとしても、大久保選手のようにずば抜けた実績を残し、かつ“スペシャルな要素”*3を持つ選手でなければ、去年の終盤のメンバーに割り込んで新たに選ばれる、ということにはならないだろうと思う*4

ただ、今回に関して言えば、「変えてほしかった」ところもあっただけに、“ザック流”(というよりは代表編成の王道)を貫き通した今回のメンバー選考が、結果的に仇とならなければ良いなぁ・・・という思いも微かに残ったところ*5

個人的には、ジーコ・ジャパンの時と似たような雰囲気を感じつつある今日この頃だけに*6、とにかく結果にこだわって、いいニュースを日本に届けてくれることを願うばかりである。

*1:この選考には正直びっくり・・・。ここ最近抜擢されていることは知っていたものの、最終的には細貝選手や、(経験や攻撃力を重視するなら)中村憲剛選手で落ち着くだろう、と思っていただけに。

*2:当時のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100510/1273531111)参照。

*3:もちろん、父親のエピソードではなく、欧州移籍や前回のW杯の経験など、世界と戦った豊富な経験がある、という点で。

*4:その意味で、今回のメンバー選考における最大のサプライズは、アジア杯、最終予選とFWの核として出場を重ねてきた前田遼一選手が昨秋の欧州遠征メンバーから外れ、代わりに柿谷、大迫という若きスターがメンバー入りしたところにあったように思えてならない。

*5:いろんな専門メディアで分析が上がるだろうから細かいことは言わないが、本来先発メンバーとなるべきDF陣の回復状況や、回復できなかった場合(いや、回復しても・・・か)の守備への不安、そして全体を通してみた時の「高さ」への不安は、誰しもが抱くところだと思う。攻撃陣に小柄で巧い選手がずらっと名を連ねているところを見ると、ザッケローニ監督の思想としては、とことん磨き上げたパスサッカーで世界に立ち向かう(逆に言えば、ゴール前のポスト役にガンガンボールを放り込むようなみすぼらしいサッカーはしない)ということなのだろうけど、うまくいかなかった時は、悲惨なことになる。特に、今回はギリシャ戦が最大のカギになるだけに・・・。

*6:特に、欧州に移籍して日本国内でのブランドを築いた選手たちが、今シーズン必ずしもベストのコンディションで試合に出ていない、というところは、どこかしらか似ているし、そこに不協和音の兆しも感じるわけで・・・。もちろん、8年前とは、監督のチームマネジメント能力も、選手たちの世界出の経験値も戦う心意気も違う、と自分は信じているが。

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